○『 隗より始めよ(2) 』2 ページ9
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「心、です」
「うわっ!!?? メ、美雨さん」
正解を言ったのは偉ではなく美雨だった。いつの間に隣に座ったのか、睿にニッコリ笑いかけてきた。美雨の笑顔を見ると何故かこちらが照れてくる。照れ隠しのつもりで頬杖を付いて、「心ってどういう事」と偉に言葉を投げ掛けた。
「心と言っても、世の中や学校で習う気持ッッッッッッち悪い常套句や甘言を言ってんじゃない。“
心と言えば胸にあるものの筈だが、偉は踏み台に座り足を組むと、両手で頭を指指した。何処か、人間の心や人間性を馬鹿にしている様に見えた。綺麗事が嫌いなんだと偉は言う。
「まず、万物は『陰』と『陽』から構成されている。植物は陰、動物は陽。女は陰、男は陽。死は陰、生は陽。僵尸は圧倒的陰さ。陰しか持っていないからね」
「陰が無ければ僵尸は生まれてこないの?」
「こないよ。ただ、勘違いをしてはいけない。
偉が言うには、万物は陰陽に分けられるが、その陰陽の中に更に陰陽は存在する。動物は陽。よって人間は陽だが、人間は男女の陰陽に分かれる。しかし男女関わらず個体ひとつひとつに陰陽が存在する。
個体に与えられる陰陽の比率はほぼ等しい。生きていくに当たり調律を保たねばならないからだ。希に偏る事があるらしいが。
男女では陰陽の濃度が違い、そこが男女の境目になるという。男は陽が濃く、女は陰が濃い。だから、道術士は男が多い。
「なんで男が多いの? 陽が無いと戦えないの?」
「大雑把に言えばそうさ。陽が無くても倒す方法はあるけど、陽を練るのが一般的。陰
「人間には
「人間は陰も陽も持ってるから陰も陽も受け止められるけど、僵尸は
偉は「そう! 睿は頭が良いから手間がかからないね」と微笑んで睿の頭を撫でた。
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