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killerさんに背を押されて、彼の寝室へと足を運ぶ。
ベットで眠る彼にナイフを突き立てようと
震える手でナイフを持ち直し、
ぼろぼろと溢れる涙と
彼を今から殺すのだという罪悪感から
流れる冷や汗はそのままに
ぐっと目を瞑ってナイフを振り翳す。
途端に彼が口を開いた。
「────・・・」
寝言で隣で眠る姫の名を呼んだ彼を見て
無理だ
そう思った。
一度でも愛した彼を殺すだなんて私には無理だ。
私は激痛が走る足で再び海辺へ戻る。
そこにはまだCrossさんとkillerさんが海面から顔を出していた。
そのお二人の目の前で私は
遠くの波間へナイフを投げ捨て
自ら海の泡になることを選んで
海の奥深くへと飛び込んだ。
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「わ〜、まさか本当にnightmareの言う通りになるとはね〜」
「まぁ、nightmare先輩がそう易々と自分が目をつけたものを手放すわけないでしょうし」
魔法使いの部下だと名乗る二人は海の中へ飛び込んだ独りの娘が
己の上司に惹き込まれるところを静かに見守っていた。
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まさか前から目をつけていた美しい人魚の姫サマが自らオレの元を訪ねてくるとは思わなかった。
自分らしくない驚きに少し包まれながらも何の用かと尋ねれば
陸に住む人間に好きな人ができたから協力してくれ、と。
なぜオレがそんなことをと思いつつも良いことを思いつき
声でもなんでも差しだすと言ったAから声を貰う代わりに薬を差し出した。
薬を作るのに1週間、Aが現実を知るまで2週間。
だいぶ時間は掛かったが、その分高性能な薬ができあがった。
オレの部下のCrossとkillerにナイフを持たせ、派遣する。
愛おしいAにはきっと無理だろうことを二人に伝えさせた。
案の定、想い人を刺しに行ったであろうAは
人魚の姿でも、一滴も血が掛かってすらもいない姿で戻ってきた。
ナイフを波間へ投げ捨てて、Aは海の中へ飛び込んできた。
足から徐々に泡になりかけていたAを捕まえて
薄らと開いていた口の中に時間をかけて作った薬を流し込む。
泡となって消えかけていた足は人魚の尻尾へ戻って行った。
海の奥深くにあるオレの秘密の部屋で
お前をちゃんと世話してやるよ
_____『愛おしい』A
(哀れな人魚姫)─────
愛おしい
可愛く、大事に思うさま
いとおしい。かわいらしい。
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・
気の毒。可哀想。
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作成日時:2022年6月4日 8時