episode21 記憶 ページ23
『あなたは……ガヴリール?』
___はい、我が主。私に戦う力はありませんがその代わりに癒しの力を貴方様に授けましょう。
『…ありがとう。』
・
「今の、見えました?テツ。僕は嘘なんかついてませんよ?」
「こ、ここまでとは…!」
ガヴリールから癒しの力を授かったAは力の副作用も受けずに確固とした意思でFFを20人抜きにした。
それは旋風のように速く、力強かった。
『っは…はぁっ…!兄さん!もう終わりよ!私は疲れたから部屋に戻るわ。』
「あっ。」
「逃げられましたわね。」
癒しの力を授かっていても疲労は取れるものではない。
それに、副作用がないと言っても使うたびになにかの記憶が流れ込んでくる。これもガヴリールのせいなのだろうか。
それでも、この記憶は思い出すべきではないと心のどこかでは…
Aは疲労を理由にし、自身のベッドに体を預けた。
・
『ブラスター・ブレード!』
「姫、そのようなところに行かれては…」
『大丈夫よ私には翼があるもの〜ねっ?』
「…姫…」
呆れ顔をした君が懐かしい。
私を必ず守ってくれるその腕で。その剣で。
君は困った顔をしたあと、必ず笑うのだ。
私を愛しそうに見つめる君。
二人は花畑にいた。
『ブレード……』
「何でしょうか姫。」
『私…私、本当は逃げたい。こんな戦いに意味なんてない…でも…』
「姫…私の剣は貴女のものです。私は命に変えても姫を守ることを約束致しました。」
『…命に変えなくていい、私と、共に生きてくれるのが貴方ならそれでいいのよ。アーメス…』
「姫…その名は…とうに捨てた名です。それで私を呼んでくださるな…。」
『ごめんなさいブレード。あなたの意思は確かに私が聞き届けました。ありがとう、私の騎士。』
吹き荒れる風、舞い上がる花弁。
二人は今にも泣きそうな顔でお互いに口付けをした。
それが、最後の約束。
願うしかなかった私の結末。
____私、雀ヶ森A…いいえ熾天使ガブリエルの最後だった。
願うことしか出来なかった姫は翼をもがれ地に落とされた。
そうでしょう?"私"
・
『____私、は。』
夢だ。これは私の、自己中心的な夢だ。
こんなもの知らない。私は…。
…なら、なぜ私はここにいるのだろう。
知らない。
知らない知らない知らない知らない知らない!
『誰か…助けてよ。』
そんな少女の言葉は、誰にも届かなかった。
そう、誰にも。
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蘭子@気まぐれ屋(プロフ) - ユリさん» 確認が遅くなり申し訳ありません。質問はご自由にどうぞ! (2021年3月23日 1時) (レス) id: f049fc72a2 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 蘭子さん» 質問いいですか? (2021年2月13日 19時) (レス) id: 1f8411eea9 (このIDを非表示/違反報告)
蘭子(プロフ) - 桜♪さん» ありがとうございます!ゆっくり読ませて頂きます! (2017年12月4日 23時) (レス) id: 3a1167d91d (このIDを非表示/違反報告)
桜♪ - 蘭子さん» いえいえ! 私の作品の題名は、[ヴァンガード] クロノ達の仲間だった!? [GZ編] と言います。 (2017年12月4日 22時) (レス) id: 76272ba197 (このIDを非表示/違反報告)
蘭子(プロフ) - 桜♪さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです!体のお気遣いまでして下さって…感謝します!そして桜さんの小説すごく気になります!よろしければ題名を教えて貰っても構いませんか? (2017年12月4日 22時) (レス) id: 3a1167d91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭子 | 作成日時:2017年11月29日 0時