episode17 浸透 ページ19
＿＿貴方は邪魔なんですよ。
Aは立凪タクトに言われたことを静かに思い出していた。
邪魔…か。
…そう思われても仕方無いよね。私は兄さんの持ってないもの全部もってたもの。
だから私は、強がることもせずただ【】の陰に隠れて生きてきた。
私は、臆病者だ。
だから…上辺だけで救おうとしている。兄を止める力さえないと言うのに。
誰が助けてくれる。
それで助けてもらったことは一度としてなかった。
私の…＿＿【】でさえ。
『…い、かないで…【】。』
「A！」
『あい、ち？』
「すぐに目覚めてよかった…びっくりさせないでよ！」
『わ、たし…』
「水もってくるね、まだ休んでた方がいいよ。」
下宿先のベッドの中だった。
二段ベッドが4つ。聞くところによるとチームカエサルの修練所らしい。昔、そこそこ人数のいるチームだった時の名残だろうか。
私は…倒れた。あの時の兄と同じように。
きっとこれは櫂の耳にも届いているだろう。
『櫂に…悪いことしちゃったかな…』
「全くだ。」
つぶやくと同時にドアを開けた人物は櫂だった。
『……兄さんの言ってたことは冗談だと思ってた。私に力があるなんて思ってなかったから。櫂…私……私、どうすればいいのかわからないよ…』
「…力があっても溺れさえしなければいい。お前にはそれが出来る。もし、どうしようもなくなった時は…俺を呼べ。」
櫂がそっと手を私の頭の上に置いた。
不安で満ちていた私を落ち着かせるのには十分だった。
『うん…ありがとう。』
その光景を見ていた人物がいることに気づかないまま。
・
アイチから水を受け取り飲み体が動く様だったから外に出た。
もう夕方。みんなはカレー作りをしていたらしい。
…だから櫂の手が玉ねぎ臭かったんだな。
「A…！」
『あ、ミサキさん…ご迷惑をお掛けして…』
「良いんだよ。それよりも大丈夫？痛いところはない？」
『ひぁ…い』
美人が急に顔を覗き込んできたものだから私はビックリして変な声が出てしまった。
ミサキさんは勘違いされやすいだけで本当はいい人なのだろう。
と、みんなが調理している横で玉ねぎを真剣に炒めている変人…もとい櫂がいた。
『…玉ねぎ、もう飴色じゃないですか？』
「まだだ。」
『はいはい。』
知っていた。櫂が頑固なのは。
ただ幸せな日常がこれからも続きますように、そう願いながら私もカレー作りの手伝いに向かったのだった。
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蘭子@気まぐれ屋(プロフ) - ユリさん» 確認が遅くなり申し訳ありません。質問はご自由にどうぞ！ (2021年3月23日 1時) (
レス) id: f049fc72a2 (このIDを非表示/違反報告)
ユリ(プロフ) - 蘭子さん» 質問いいですか？ (2021年2月13日 19時) (レス) id: 1f8411eea9 (このIDを非表示/違反報告)
蘭子(プロフ) - 桜♪さん» ありがとうございます！ゆっくり読ませて頂きます！ (2017年12月4日 23時) (レス) id: 3a1167d91d (このIDを非表示/違反報告)
桜♪ - 蘭子さん» いえいえ! 私の作品の題名は、[ヴァンガード] クロノ達の仲間だった!? [GZ編] と言います。 (2017年12月4日 22時) (レス) id: 76272ba197 (このIDを非表示/違反報告)
蘭子(プロフ) - 桜♪さん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！体のお気遣いまでして下さって…感謝します！そして桜さんの小説すごく気になります！よろしければ題名を教えて貰っても構いませんか？ (2017年12月4日 22時) (レス) id: 3a1167d91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭子 | 作成日時：2017年11月29日 0時
