頑固な僕と不器用な君 (ページ7)

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オッパ. ページ7

少しだけ寝癖のついた頭。
それをわしゃわしゃと掻き乱しながら
スマホを耳に押し当てて廊下へと出ていく。

『……ありえな』

その後ろ姿を見つめたあと
ぼそっとそう呟いた。

まったく仕方のない兄である。
思ってまた洩れる溜め息。
取り敢えずマフラーを外して
着ていたコートを脱いだ。

椅子の背凭れへとそれらを掛けて
手洗いを済ませてからキッチンへと向かう。
冷蔵庫を開けば
期待通りのものがそこにはあって

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イトへ!

バイトお疲れ様!
なんと今日はオムライスでーす!
出来たてじゃなくてごめん!
レンジであっためて食べてね!^^

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ラップの掛かったお皿の上に貼られた
メッセージの書かれた付箋を読んでいると
ゆっくりと頬が緩んでいく。

『はぁ、オッパはいいお嫁さんになれるわぁ……』

しみじみとそう呟いてから
皿を取り出してレンジに入れる。

数分後に温め終わったそれを手に
ダイニングテーブルへと戻った。
ルンルン気分でご飯に差し入れたスプーンを
ゆっくりと口の中へ運び入れる。

『ぅん～、最っ高』

口に広がる、卵のふわふわとした感触。
ご飯の味付けもちょうど良いし
何よりも上にかけられている
デミグラスソースの味がグッチョブ。

『切実にお嫁に欲しい。』

私にはオッパが二人いる。
さっき紹介した通り
一人目の名前はユンギ。
そして、二人目の名前はホソク。

私とオッパ達は、血が繋がってない。

正確に言えば、オッパ達も腹違いの兄弟。

バラバラで複雑なように見えるけど
親と子はともかく
私達兄妹の仲は結構いいと思う。

｢イトー、わり、会社戻るわ｣

『ん、いってらしゃーい。
寝てましたって正直に告白したの?』

｢いや、まさか。
親戚が交通事故に遭ったって連絡が来て
いろいろ処理に手間取ったって
軽く嘘ついて誤魔化した｣

『それ軽いどころか重めの嘘だけどね。
取り敢えずいってらっしゃい。
運転気を付けてね』

｢おう、夜更かししないでさっさと寝ろよー?｣

寝起きで少しだけ浮腫んだ顔のまま
オッパはビジネスバッグを手に
玄関へと向かっていった。

しばらくして扉の開く音と鍵の閉まる音。

『ホソクオッパは何時に帰ってくるかなー』

ちょっとだらけてるユンギオッパと
しっかり者でいつでも優しいホソクオッパ。

正反対のふたりは
私にとってどっちも大切な家族だ。