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弐拾伍 ページ26

「……え?」

涙が引っ込むほど驚いた顔をした百合香は何とも間抜けな顔をしていた。
その情けない面に思わず吹き出してしまう。

『馬鹿ねぇ。私があんたを許す訳ないでしょ。』

「Aちゃん何を言って…」

『しのぶさんが居ることくらい、気づいてたわよ。
その上であんたを陥れたのに。』

「え、なんで…なんでそんなことするの?
私、貴方に何もしてないのに…」

『…おい、あんたの耳はお飾りか?
この声。聞き覚えない訳?』


そう尋ねればしばらく考える様子を見せた百合香は、突然何かを思いついたように目を見開いた。

「ま、まさか…」

『そのまさかだよ。あんたに人殺しの濡れ衣を着せられた、光月A。』

「あ、あんなに殴られたくせに…!何で生きてるんだ、この化け物ッ!」

はぁ?何を言っているんだこの低脳は。

『化け物…まだ私をそう呼ぶ奴がいるとはな。
どうやら躾が足りないようだ。』


そう言って百合香の首を鷲掴みにすると、苦しいのか、うめき声をあげる百合香。

気色悪い。


『全部策略だったんだよ。
しのぶさんや蜜璃ちゃんと親しくしたのも。
無一郎くんに近づいたのも。
簪を見せびらかしたのも。
ぜーんぶ。みんな。あんたを地獄に突き落とす為だった。』

百合香の足が宙に浮き、段々と抵抗も弱々しくなる。

『…でも、ちょっとまだ早いかな。』

百合香の首を絞めていた手を放せば、どさっと地に倒れる百合香。
げほごぼと苦しそうに咳き込む百合香を見、無意識のうちに笑いが溢れる。



『だぁーいすきなんだよね。
あんたのその歪んだ顔。』

顎をくいっと持ち上げれば、こちらを鋭い目つきで睨む百合香。
ドガッとみぞおちを蹴れば、またもや苦しそうに咳き込んだ。

『あの日もそんな顔してたよ、あんたは。』

あの男が百合香でなく私を庇って死んだ時、嫉妬と恐怖が入り混ざったような顔をしていた事を思い出す。


『どうよ、二度も私に男を奪われた気分は。』

私がそう言えば、百合香は言い返す言葉もないのか、ぎゅっと唇を噛み締めて俯くだけだった。


『あんた、今刀は持ってんの?』

聞けば腰回りに手を当てて、必死に刀を探す百合香。

『…あっそ。じゃ、鬼に殺されて死んだとでも言っとくわ。』

_______ドガッ

『さようなら』


背中を勢いよく蹴り上げれば、崖に一直線に墜ちていく百合香の体。



虚しくも、それは深い闇に飲まれて消えていった__。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 悪女主 , 愛され   
作品ジャンル:ファンタジー
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ゆめっち♪ - 完結おめでとうございます!オチは杏寿郎さんがいいです! (2022年1月8日 15時) (レス) id: 2aa09168c0 (このIDを非表示/違反報告)
アミ(プロフ) - ののか❁さん» わ〜!ありがとうございます!冨岡さんですね、OKです! (2022年1月8日 15時) (レス) id: af4182423c (このIDを非表示/違反報告)
ののか❁ - 今日この作品を見つけて一気見しちゃいました〜!面白かったです!オチは冨岡さんがいいです!投票日に間に合って良かった〜!笑 (2022年1月8日 14時) (レス) id: 2aa09168c0 (このIDを非表示/違反報告)
流希愛 - 続編作って下さるなんて感激です〜!オチは煉獄さんがいいかなと思います♪ (2022年1月8日 14時) (レス) id: 2aa09168c0 (このIDを非表示/違反報告)
りぃな - 完結おめでとうございます!今回も面白かったです✨冨岡さん希望です! (2022年1月8日 13時) (レス) id: 2aa09168c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アミ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年10月17日 11時

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