・虫 ページ19
・高専2年
・付き合う前
・貴方side
夏。7月も後半に入った。
私は虫が苦手だ。特に蝉、大きさもフォルムも飛んでくるところも。
この山奥にある高専に蝉がいないはずもなく。毎日うるさく鳴いている。
『ぎゃああ!』
「…んだよ、うっせーな、」
地面にひっくり返っているのに、死んでいるのか、生きているのかわからない。
横切ると突然鳴き出す蝉。
『無理無理無理‼︎』
走って教室までダッシュした。
・
その日の午後、体術の授業だった。
暑いのによくやるよ、本当に。
『あつ…』
「暑いね、」
硝子と水道で腕だけ冷やす。
暑過ぎてやってられんっての。
「A、」
『何…ぎゃああ‼︎
最低!信じらんない!死ねクソ五条!』
「ウケるお前面白すぎ。」
蝉の抜け殻をいくつも投げてきた。
本当に地獄へ行ってくれ。
『硝子〜助けて〜』
「A蝉が無理なの?」
『いや虫が無理。蝉だけじゃなくて全部。』
「それ五条に言わない方が良かったんじゃないの」と硝子に言われるが時すでに遅し。
・
次の日から蝉の抜け殻を見つけるなり投げるかのように頻回にいじめられた。
ただでさえ暑いのに逃げ回ってもっと暑い。
「A、」
『……なに』
廊下で呼ばれ、一歩ずつ距離を取る。
「警戒しすぎじゃね?なんもしねーよ。」
そう言われて詰められた距離を離さずにいた。
「ほらよっ、」
宙を舞って渡された何か。
『…ぎゃあああ‼︎』
茶色くて艶のある何か。足がたくさんあって触覚がある何か。
理解する前に走った。
『わっ、』
曲がり角を曲がったところで誰かとぶつかって、その人と一緒に転んだ。
『いたた……ごめん灰原、怪我してない?』
灰原を下敷きに思いっきり転んだ。
「大丈夫です!A先輩こそ大丈夫ですか?」
『………とても言いにくいんだけど、足に力入らなくて……』
五条の投げてきたGのせいで足が震えて力が入らない。
体勢もめちゃくちゃまずい、間違いなく見られたらいろいろと誤解される。
「……五条先輩に何かされたんですね。大丈夫ですか?」
子どもを落ち着かせるかのように背中をトントンしてくれる。
そういや灰原って妹いるって言ってたような……
「A何してんだよ、」
『げっ……』
「あ、五条先輩!」
長い足がこちらに向かってくるのは一瞬だった。
・
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くまこ(プロフ) - ウルさん» こちらこそ最後まで本当にありがとうございました!リクエストもありがとうございました!書いていて楽しめました(^O^) (2021年9月5日 22時) (レス) id: f5bfbbb40b (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - riyaさん» こちらこそ最後まで本当にありがとうございました! (2021年9月5日 22時) (レス) id: f5bfbbb40b (このIDを非表示/違反報告)
ウル(プロフ) - リクエスト答えて下さり、ありがとうございました!!五条先生の日焼けの仕方に1人で笑ってしまいました(笑)あと、完結おめでとうございます!!本当に見ていて楽しかったです。素敵な作品、ありがとうございました! (2021年9月5日 12時) (レス) id: c74361b71e (このIDを非表示/違反報告)
riya(プロフ) - 完結 寂しいですが 素敵な物語読めて感激です。ありがとうございました。 (2021年9月5日 9時) (レス) id: 0599723b2d (このIDを非表示/違反報告)
くまこ(プロフ) - ウルさん» ありがとうございます!次更新時に書きます!リクエストありがとうございます! (2021年9月1日 22時) (レス) id: 501da60a6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くまこ | 作成日時:2021年8月21日 9時