夜の彼-夢編-【YG】 (ページ19)

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店の裏口

ミストみたいな細かい雨が降る

夏も終わりで少し寒くて

パーカーの袖を少し伸ばした。

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携帯に表示されるラーメンの写真

今日は少し寒かったから１人でラーメン屋さんに入ったと

彼女が俺に写真を送る

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「あ、もしもし」

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雨のせいか少し寂しさを覚え

つい通話マークをタップ

あれからお互い何かあるとメッセージを送るようになった

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「もしもし、Aさん？」
『びっくりした、なに？』
「ううん、声聞きたくて」
『なにそれ』

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いつも強がるあなたの少しでも休める場所になりたくて

少しでも笑える場所になりたくて

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「ジョングク」

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でも、多分、

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「ごめん、切るね」

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この人のせいで俺と彼女の距離感が平行線な気がする

いや、人のせいにしちゃいけないのは分かってるけど

でも彼女の目からこの人の影がずっと消えないんだ。

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「何ですか？ユンギさん」

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「いや、ごめん、電話中。煙草吸う？」
「…え、あぁはい」

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黒いパーカーのフードを被ったユンギさんがだるそうにらライターを差し出す

雨の中2人で煙草に火をつける

少し雨が強くなってきた

あからさまに最近Aさんが来なくなったこと

ユンギさんがあまりステージに立たなくなったこと

時たまクラブ裏でユンギさんが喧嘩をしてること

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少しだけやさぐれてるユンギさんに

俺は気づいてた

まぁその原因も何となく分かってる

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「今のA？」

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だるそうに口から煙を吐いて俺に聞く

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「そうですよ」

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フードを被ってるせいか全然表情は見えない

ただ時たま車のヘッドライトで照らされるユンギさんの顔は

死んだような目をしていた

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「最近Aさん来ないですね」
「そうだな」

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壁にもたれかかりしゃがみながら吸ってるユンギさんに

視線を合わせるように俺も目の前にしゃがむ

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「ユンギさんAさんは友達なんですよね？」
「…あぁ」