弍拾話 ページ22
降谷side
ため息とともにネクタイを緩め、エレベーターの壁にもたれた。
体が重い。さっきからずっと、色んなことが頭の中を回っている。
想定外のことが多すぎて帰る時間が遅くなってしまったけど、きっとAは寝ずに俺のことを待っているだろう。
軽い音を立てて止まったエレベーターから降り、部屋の扉を開ける。
するとその瞬間、部屋の奥から狐色の塊が弾丸のように飛んできた。
『零様ーー!!!』
「うわ!?」
ほぼ体当たりの如く抱きついてきたのはA。
不意打ちのそれに慌てて足を踏ん張る。
起きてるだろうとは思っていたが流石にこの仕打ちは予期してなかった。
なにかあったのかと思ったが、顔を上げたAは涙目でまくし立てた。
『べるつりーきゅーこーが爆発したと聞いてとても心配しておりました…!ご無事でよかったです…!』
「あぁ、なるほど…」
そういうことか…爆発の映像はニュースにも出ていたし、Aが心配するのも当然だろう。
納得しながら彼女の頭を撫で、部屋の中に入る。
Aはその1歩後ろをトコトコとついてくる。
しかし、俺がネクタイを外したところで急に顔を覗き込んできた。
「…どうかしたか?」
『……零様、何がございましたか?』
いきなりのその言葉にギクリと固まる。
…いつも通りにしてたつもりだったがバレてたのか。
それに、Aがこういうことを俺に聞いてくるのは初めてだった。どんな時も仕事のことを聞こうとはしなかったのに。
「…Aは気にしなくていいよ」
真っ暗な裏の世界を知らない子に聞かせる話でもない。
大体あんなこと話したって反応に困るだろう。
Aは俺の言葉を聞き、動きを止めてじっとこっちを見る。
そして何を思ったか、突然駆け出して別の部屋に行ってしまった。
バタバタと騒がしい音して、すぐにまた彼女は俺の前に駆けてくる。
戻ってきた彼女は、出会った時に着ていた和服に身を包み、狐の耳と尻尾を顕にしていた。
…こんな夜中にいきなりどうしたんだ?
「…おい、A?」
戸惑う俺を前に、Aは大真面目な顔でこんなことを言い出した。
『これよりAは祠の中の狐に戻ります!!』
「…はい?」
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やっち(プロフ) - 更新お待ちしてます (2022年4月24日 5時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
ベリナ(プロフ) - この作品もう更新はされないのでしょうか、、、?とても好きな作品なのでいつまでも心待ちにしております (2019年2月22日 21時) (レス) id: d785e007a4 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - いちごって美味しいよねさん» こんにちは!いつもありがとうございます〜!こちらもよろしくして頂けると嬉しいです!! (2018年11月16日 7時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年10月24日 21時