拾玖話 ページ21
ポアロの扉の鈴がカランと軽やかな音を立てる。
二日連続でそこへ足を踏み入れた瞬間、店の奥から声が飛んできた。
「あ、Aちゃーん!」
「Aちゃん!こないだの柿おいしかったよー!」
『本当ですか!よかったです!』
Aは昨日の栗の如く、老人達から貰った食べ物をよくポアロのお客さんにお裾分けをしている。
その縁で色んな客と仲良くなっているのだ。
今彼女を呼んだのは女子高生2人。
設定上ではAより年下だが、いつの間にやらすっかりタメ口である。
訪れるたびになにか食べ物抱えている彼女が、実はこっそり“ごんぎつねちゃん”と呼ばれてることは本人は知るよしもない。
「Aちゃん、今日は珍しくなんにも持ってないね〜」
『あはは、別に毎日なにか持ってくるわけではありませんよ!お二人は今日はお勉強ですか?』
「そう、もうすぐテストだからー。Aちゃんって19だよね?勉強教えてよ〜」
『ど、どうでしょう…江戸時代以降の日本史ならなんとかなるかも…?』
「え、めっちゃ限定するじゃん…」
そのあたりなら実際生きてましたので、とは言わず、彼女は苦笑する。
するとすっかり集中が切れたらしい女子高生がシャーペンを置き、Aに尋ねた。
「Aちゃーん、今日あむぴ来ないのかなー?」
「なにか聞いてるー?」
『透様でございますか?今日は…えーっと…
べるつりーきゅーこー?に乗ってるとおっしゃってたような…』
相変わらず横文字が苦手な彼女は言いにくそうにそう口にする。
しかしその言葉を聞いた瞬間、彼女たちは目を丸くした。
「まじ?ベルツリー急行ってさっきネットニュースに載ってたやつじゃない?」
「なんか爆発したとか言ってたよね、あむぴそれ乗ってんの?」
『え!?爆発!?』
予想外すぎる単語に、Aはガタッと勢いよく立ち上がる。
弾みでカフェラテがカップの縁ギリギリまで揺れた。
「死傷者はゼロって書いてるから大丈夫だと思うけど…」
1人がスマホで開いたネットニュースを覗き込む。
映し出されているのは空中からの画像。
橋の上の貨物車から火と黒煙が上がっている。
『ひえっ…』
「うわー…結構派手にやられてんね…」
慌てて自分の携帯を確認するが、メッセージは何も届いていない。
Aはどうすればいいかもわからず、意味もなくその場をグルグルと回って駆け出した。
『か、帰ります!!』
「ちょ、Aちゃーん!?気をつけてねー!?」
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やっち(プロフ) - 更新お待ちしてます (2022年4月24日 5時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
ベリナ(プロフ) - この作品もう更新はされないのでしょうか、、、?とても好きな作品なのでいつまでも心待ちにしております (2019年2月22日 21時) (レス) id: d785e007a4 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - いちごって美味しいよねさん» こんにちは!いつもありがとうございます〜!こちらもよろしくして頂けると嬉しいです!! (2018年11月16日 7時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年10月24日 21時