拾捌話 ページ20
Noside
「Aちゃーん!」
公園のベンチに座って日向ぼっこをしていたAは、そんな声にぱっと顔を上げた。
声がした方向を見れば数人の老人たち。
大きな袋を抱えて彼女を手招きしている。
『はーい!お呼びでしょうか!』
元気よく返事をして彼らのもとへ駆けていく。
Aは人に好かれやすい性格をしている。そしてなにより、彼女は老人に好かれやすい。
元々は祠に住んで色んな生き物の話を聞いていた狐。人の話を聞くことは好きなのだ。
300年も生きてるが故のおだやかさも、彼らと通じる部分がある。
Aが公園に集う老人達と仲良くなるのにそう時間はかからなかった。
「ほら、これ。Aちゃんにあげるよ」
1人の老爺が広げた袋を覗き込む。
するとAはぱあっと笑顔を浮かべた。
『わぁ!栗でございますね!こんなにたくさん!』
「栗拾いに行ってきたのさ。食べ切れないからよかったら貰っておくれ」
『はい!喜んで頂きます!』
大量の栗が入った重い袋をなんとか持ち上げ、その後も何度もお礼を言って公園を後にするA。
彼女の次の行き先は、家ではなかった。
*
『こんにちは!』
「あ、Aちゃん!いらっしゃい!」
鈴を鳴らしてAが入店すると、すぐに梓が振り返る。
途中休憩も挟みつつ彼女が辿り着いたのはポアロだった。
Aはあの日以来、頻繁にポアロに訪れている。
思ったよりも彼女がボロを出さなさそうだったため、降谷が許可を出したのだ。
A自身もポアロの雰囲気は気に入っていたし、なによりここに来れば降谷に会えるのだ。
しかしどうやら今日はいないらしい。
そのことを確認したAは、同時に見つけた奥に座る客のもとへ駆け寄った。
『蘭様!小五郎様!』
「あ、Aさん!こんにちは!」
「おお、Aちゃん!どうしたんだその袋」
Aがポアロに通うようになってまだそんなに経ってないとはいえ、当然毛利家とは顔見知りになっている。
どさっと大きな袋をテーブルの上に置き、一息つく。
なかなかに重かったのだ。しかしすぐに笑って二人に言った。
『栗です!』
「栗?」
『はい!たくさん貰ったのでお裾分けに!』
「え、いいんですか!?ありがとうございます!」
頭を下げた蘭にわたわたと手を振るA。
そんな時、彼女の携帯がメッセージの受信を告げた。
“明日は帰る”
降谷からの端的なそれに頬を緩ませ、彼女はケーキを頼んだのだった。
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やっち(プロフ) - 更新お待ちしてます (2022年4月24日 5時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
ベリナ(プロフ) - この作品もう更新はされないのでしょうか、、、?とても好きな作品なのでいつまでも心待ちにしております (2019年2月22日 21時) (レス) id: d785e007a4 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - いちごって美味しいよねさん» こんにちは!いつもありがとうございます〜!こちらもよろしくして頂けると嬉しいです!! (2018年11月16日 7時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年10月24日 21時