拾陸話 ページ18
『では…コナン様、歩美様、元太様、光彦様…そして先程お帰りになられたのが哀様ですね!』
「うん!そうだよ!それでこの子は大尉っていうの!」
『大尉様でございますね!ばっちり覚えました!』
Aは笑って腕の中の猫を撫でた。
歩きながら一通りの自己紹介を済ませた彼女たちは、銀杏並木の下を歩きながら“ポアロ”に向かっている。
「大尉は病院に連れて行かなくても大丈夫なんでしょうか?」
そんな光彦の問いにAは少し考えてから答えた。
『心配ならお連れするのもいいと思いますよ。私はお医者様ではありませんから。
多分少ししたら元気になるとは思いますが…』
「そっか〜。じゃあ梓お姉さんに聞いてみないとね!」
『梓様とは飼い主様ですか?』
「うん!これから行くポアロの店員さん!」
『ポアロというのは…?』
「喫茶店だよ!コナンくんのおうちの下にあるの!」
へえー、と返したAは気づいていない。
その“ポアロ”が自分と暮らす男の潜入先だということには全くもって気づいていない。
見たこともようなニコニコ笑顔で働いている降谷のところへどんどん近づいていってるだなんて思いもしていない。
対するコナンの方も、まさか今隣にいる彼女が安室透と共に暮らしているだなんて考えもしていない。
彼女の纏う緩い空気にすっかり警戒を解き、ただただ変な人だなと思っているだけである。
「Aお姉さんって変わってるね〜」
『そうですか?』
「うん、だって子供とか猫相手に様を付ける人なんてなかなかいないと思うよ?敬語を使うだけでも珍しいと思うな」
『あー…人様には敬語を、お名前を呼ぶ時は様付けを。と母上に教わりましたので…』
「…もしかしてAお姉さんっていいとこのお嬢様?」
『お嬢様?お金はほとんど持っておりませんよ』
「ふーん?」
やっぱり変な人、と思ったコナンは、もうなにも気にせず歩き慣れた道を進む。
変な人ではあるけれど、先程から見せる笑顔はとても優しいし、ただの良い人にしか見えないのである。
しかしその数分後、コナンはまたもやAの行動に驚かされることになる。
大尉を抱いたままポアロへと踏み入れたAは、店の奥を見て目を丸くし、小さな声で零したのだ。
『とおるさま』
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やっち(プロフ) - 更新お待ちしてます (2022年4月24日 5時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ベリナさん» わ〜!ありがとうございます…!!ずっと更新止まっててすみません!中途半端なところですしまた書きますね!!優しいお言葉、励みになります!本当にありがとうございます!! (2019年2月23日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
ベリナ(プロフ) - この作品もう更新はされないのでしょうか、、、?とても好きな作品なのでいつまでも心待ちにしております (2019年2月22日 21時) (レス) id: d785e007a4 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - いちごって美味しいよねさん» こんにちは!いつもありがとうございます〜!こちらもよろしくして頂けると嬉しいです!! (2018年11月16日 7時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年10月24日 21時