死ぬなよ ページ47
出水side
「Aっ！！！！！！！！！」
ワープ女のトリガーでAが刺される。
嘘だろ…
動きの止まったAに近づく人型を三輪が風刃で叩き斬った。
そのまま玉狛の近界民が追いつき、人型の相手をする。
しばらく経って、近界民たちは退散した。
あとから聞いた情報によると、玉狛の近界民の自律トリオン兵？とやらが近界民の艇に帰還命令を発動させたらしい。
ここまでが俺には全てスローモーションに見えた。
「うっ、、、」
柚宇さんが口元を手で押さえた。
Aからは大量の血が出ている。
「おい！！弾バカ！！！聞こえるか？！」
米屋の声か。
「A、病院間に合わねぇから基地の医務室に運ぶ！受け入れ準備しといてくれ！」
「………あぁ」
自分でも恐ろしいくらい弱々しい返事だった。
柚宇さんは横で涙を流している。
「…俺、基地の医務室にAのこと伝えてきます。太刀川さんのこと、お願い」
柚宇さんの肩を叩いて、俺は医務室に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「米屋、ありがとう」
「ん。」
ほどなくしてAは運ばれ、見ての通り重傷だった。
このまま死んじゃうんじゃないか…
その考えを消すように俺は首を横に振った。
大丈夫。Aなら大丈夫だ。
俺はしばらく医務室の前から動けずにいたが、米屋がただ横にいて、背中をさすってくれた。
あぁ、俺、泣いてるのか…
Aを守ってあげられなかった悔しさとAが死んじゃうんじゃないかっていう不安が入り混じる。
「なに泣いてんだ出水」
太刀川さんが戻ってきたようだ。
柚宇さんも涙を溜めながら太刀川さんの後ろにいる。
「俺らが鍛えたんだ。そう簡単にAは死んだりしねぇよ」
それだけ言って太刀川さんは、本部長のところに報告行ってくると言い、いなくなってしまった。
太刀川さん、声震えてんのバレバレなんだよ。
「A。死ぬなよ…」
そのまま俺も医務室を後にした。
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作成日時：2021年10月20日 1時
