出水先輩には大切な後輩がいます (ページ24)

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泣くなページ24

出水side

わざわざ誘ってくれた米屋と緑川や、さっきまでAと楽しんでいた柚宇さんたちに謝ってからAを家まで送ることになった。

『あ、、出水先輩、、その、、、手』

そう言われてから、俺が神社を出てからずっとAの手を握りながらここまで歩いてきたんだと分かった。

「うわっ！ごめん気づかなかった」

そのまま離れるのが名残惜しいと思いながらも、手を離した。

気づけばもうAの家の目の前。

『…先輩、私大丈夫ですから。元気なので安心してください』

力なく笑う姿が痛々しい。

また無理して笑顔になってる。

「お前の大丈夫は大丈夫じゃないってことくらい知ってんだよばーか」

そう言うと、Aは驚いて少し泣きそうになった。

「俺になら、泣いてた理由話せるんだろ？」

たぶんサイドエフェクトのせいでまた嫌な記憶を思い出して泣いた、それぐらいは見当がついてる。

ただ、どうしたらこいつを救ってあげられるのか、守れるのか。

俺はいつもこいつに正しい言葉をかけてられてるのか心配になる。

『こないだ、三輪さんに言われて思い出しちゃったんです』

“家族や友人を殺された人間でなければ近界民の本当の危険さは理解できない”

『私の家族が目の前で近界民に殺される光景…目を瞑っても、忘れようと思っても浮かんでくるんです』

これはサイドエフェクトを持ってる人にしか分からない苦悩なのだろう。

簡単に俺が気持ちを分かる、だなんて言えない。

『でも今1番辛いのは、一緒に戦ってきたみんなが目の前で命を落とす光景を私が見てしまったらどうなるんだろうって、、、っ！！』

そのままAは静かに涙を流した。

『だから、大切な人なんて作りたくない…失ったらその分辛いって分かったから。もうこんな思いしたくないんです、、、』

「……」

もしかしたら俺はAにとっての大切な人にはなれないのかもしれない。

でも、それでもいいからAのそばにずっといたい。

「……嫌だったら突き飛ばしていいから」

そう言ってそのまま俺はAを抱きしめた。

20cmの差があるため胸の中にすっぽり収まっている。

「辛いのもしんどいのも全部ぶつけていいから。甘えろよ、頼れよ。もう絶対に、俺のいないところで泣くな」

Aは泣きながら頷いていた。