恋・時々雨

わちゃわちゃ ページ11

「あ、今までの話は内緒にしてね？」

淳さんが人差し指を立てて、かわいく笑った。

「口が裂けても言えません。」

「これでお前は俺達の運命共同体だな！」

パコンとまた頭を叩かれた。
頭を押さえて豊さんを睨む。
みさとさんがそれをみて、ムフフと笑った。

「Aちゃん、叩かれるのは愛情表現だからね。」

「小学生レベルですよ！」

「せめて中学生にしろよ。」

「変わんないじゃん！未成年はお酒禁止ですよ！」

私は、豊さんからビールを奪った。

「コラッ。返せ！俺は立派な大人だ！」

ビールを取り返そうとする手から逃げる。

「クソが。」

と言い、豊さんがテーブルにおいてあった私のビールを飲んだ。

「ちょっと、それ私の！」

「お前はそれ飲め！」

「げーーー！」

「げーーーっとはなんだ。キャン様の飲みかけのビールを飲めるなんてお前、ファンが知ったら殺されるぞ！」

私は手に持っていたビールを眺めた。

「売っちゃおうかな？」

「おーおー。売上の３分の２は俺のね。」

「せこいっっ。」

淳さんとみさとさんが大笑いしている。

「喜矢武さんにしては珍しいタイプだよね。」

淳さんが私を見て言った。

「いつもは色気振りまいてるお姉さん系なのに。」

「あぁ、そうね。優香も振りまいてはいないけど色気はあるもんね。」

「優香？」

突如、出てきた名前に豊さんが反応して、みさとさんを睨んだ。
みさとさんが、しまった。と豊さんをみた。

「優香ってのは、さっきの鬼龍院さんの好きな人だよ。」

淳さんが、涼しい顔で答えた。
私は、豊さんをみつめた。

「かわいそう……。」

と言ったら、またパコンと頭を叩かれた。

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