へびいちご２ (ページ22)

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「畳がダメならこの部屋の方が落ち着くでしょ？
あのバカとずっと喋ってなよ。少しは気が紛れるよ」

「……徹さん、聞いてた？」

徹さんの眉がハの字に下がる。

「どこまで手助けできるかわからないけど、できる事はするつもりだよ。だから遠慮しないで言ってね」

そう言うと、徹さんは私の頭をポンと撫でた。

「はい、ありがとうございます」

翼が布団を運んできて、ベッドの横に敷いた。

「さて、これからの事だけど…」

と、徹さんが布団の上に胡座をかいて真剣な顔をした。

「嫌かもしれないけど、ご両親には話した方がいいと思うよ」

「え…」

「実際に今日みたいに拉致されてるんだ。きっとこれからもあり得る話だろ。
どんな理由にしたって、Aちゃんの身が危ないことに変わりはない」

今日の事を思い出して、虫酸が走った。

逃げられた事が奇跡に近い。
もし、あのまま捕まっていたら私は今頃どうなっていただろうか。

「Aちゃんが家で一人にならないように、ご両親に協力してもらうんだ。仕事で忙しい時は、うちに来たらいいよ」

「そんな、これ以上は…」

「迷惑なんて思わないよ。
本当はこのままうちにいて欲しいくらいだよ」

「兄貴……」

「明日、俺も一緒に話をしに行ってあげる。
もちろん、お金なんていらないよ。
俺の弟の大事な子は、俺も大事だからね」

また撫でられた徹さんの手は、翼と同じ温もりを感じた。

その晩は、ずっと翼と喋ってた。そして、いつの間にか眠っていた。

久しぶりに熟睡した日でもあった。