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「A…唯さんとなんかあった?」


その直球の言葉にビクリと肩が揺れる。


「言いたくなければいわなくていい。
…………って言ってやりたいけど」



翼が私をみつめる。


「明美の所じゃなく、俺の所に来たからには話してもらう」


翼から目を逸らす。


「明美の所にはもう、唯さん達にバレてるの。だから行けなかった。それに明美を巻き込むわけにはいかないし……」

「でも俺は巻き込まれたよ?」

「ごめん。利用するつもりはなかったの…」

「利用しろよ!」


私の言葉を遮って翼が私の目の前に来た。


「うちの親父だって兄貴だって、Aの為なら喜んで動いてくれるよ。利用したっていい。どんな形であれ、Aが頼ってきてくれた事が嬉しいんだ」


翼のお父さんと徹さんは弁護士をしている。
私はそれを知っていて助けを求めた。
自分が物凄く汚く思えた。


「私…汚いの」


「A?」


私は唯さんにされた事を話した。


「あの日からいっぱい身体を洗うんだけど、全然綺麗にならない。客間を通るたびに、畳の匂いを嗅ぐたびに思い出して……っ」


力強く、翼に抱き締められた。

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作者名:ミーコ | 作成日時:2016年8月6日 23時

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