ドSのルールに乗っ取りまして ３

想い想われ ページ32

しばらくの沈黙が続いた。


カウンターの中では、私達の話を黙って聞きながら黙々と料理を作る豊センパイ。

布巾で包んで重しを乗っけていた豆腐に小麦粉と片栗粉を混ぜた白い粉をまぶしている。



あ、揚げ出し豆腐だ。



油の中に投下された豆腐がジュワーっと美味しそうな音を立てて揚げられていく。


カメラに手を伸ばしたその時に、淳先輩が口を開いた。



「最初に言っただろ？」

「え？」


伸ばしかけた手を止めて、淳センパイを振り返った。


「お前は他の女とは違うって。
上辺だけの俺達に近づこうとしてくる女と違って、お前は純粋に写真を撮りたくてサークルに入ってきた。
お前の撮る写真はすげぇ素直な写真ばっかりで、見てて心が洗われるみたいだった」


再びビールを流し込む淳センパイ。


「それは今でも変わってなくて、世間に出ても全然ブレなくって俺はお前に置いて行かれないように必死に喰らいついてったんだ」


「……え？」


淳センパイの切なげな瞳が私に注がれた。


「お前は地味なんかじゃない。
隣を歩いていいのか迷ってたのは、俺の方だよ」



．

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