ドSのルールに乗っ取りまして ３

せっかち ページ29

緩む顔をなんとか耐えていると、淳センパイは盛大なため息を吐いた。

そしてゆっくりと箸を下ろすと、



「俺と結婚するか別れるか、今ここで決めろ」



………そう言った。



私の箸に挟まれていただし巻き卵がボトンと落ちた。


一生に一度しかないこの選択を、今しがた言われたプロポーズ？ですぐに結論を出せというこの男。

本能だけで生きてると言ってもこれはあまりにも急すぎるというものだ。



「………考える時間とかないの？」


「ない」


「………この鬼畜野郎」


「ここを出るまで考えとけ」


「豊センパイ」


くるりと淳センパイから豊センパイに向き直る。


「ん？」


「めっちゃくちゃ時間のかかる料理をお願いします」


「プッ………了解」



はにかんだ笑顔で豊センパイは料理に取り掛かった。


落ちただし巻き卵を箸でつまんで口に運ぶ。


「食うのかよ」


「食べますとも、もったいない！」


「３秒過ぎてんぞ？」


「３秒も３分も私の中じゃ一緒なの」


「ったく、お前は」


呆れたようにビールをゴクリと飲んだ淳センパイの喉仏を眺めた。


．

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