114 ページ18
病院の食堂に置かれてる電子レンジを借りて、夕飯をあっためてしろの病室に戻ると、じろがしろの夕飯を持って戻ってきていて、しろは体を起こしてさぶと喋ってた。
まだ胸の痛みが残っているのか、咳き込むたびに顔をしかめてはいるけど、熱で赤みを帯びていた頬はすっかり元の白さに戻ってる。
温め直した夕飯のふたを開けると、さぶが、わぁって声を漏らした。
お米はおにぎりにして持ってきたものを2人に渡す。
「・・・・おいしい。ありがと、いちにぃ」
さぶがそう言って目を細めた。
「いちにぃとか・・・・ごろくんのつくったごはん、早くたべたい、な」
お。いい傾向。しろにとって、食に対するプラスの言葉が出てくるのはいいこと。
けれど今は、目の前のおかゆをスプーンでくるくるとかき混ぜているだけ。
「まずはこれ全量食べられるようになってからな。少なめにしてもらってるんだから」
なかなか体も動かせていないから、お腹も減らないんだろう。それでも咳や熱で体力を奪われているから少しでも食べて栄養を摂ってほしいってじろが言っていたけど。
「退院したらさ、好きなもの作ってあげるから」
「・・・・ん」
少しずつ食べられる量が増えてきているのはじろも俺も分かってる。
しろが疲れたように薄い背中をリクライニングに凭れさせると、寝る時はつけといてって、じろがナザールを酸素マスクに替えた。
さぶの写真を見せてもらいながら過ごしていると、ピロンとスマホがなった。ごろからだ。
今日はこの時期のごろにしては早めに上がれたみたいで、今から行くって連絡。
「ごろ、今から来るって」
「いいよ、だいじょうぶ。そと、さむいんでしょ。ごろくんにも、あったかい、ごはん、たべさせてあげて」
しろが、少し寂しそうに、でも真剣な目で伝えてくるから、あったかくして寝るんだよってずれた布団と酸素マスクを直して病室を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 407人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和泉(プロフ) - なつきさん» はじめまして！コメントありがとうございます。どうしても説明ばかりの文章になってしまい悩んでおりましたが、そう言っていただけて嬉しいです！更新がかなり遅く申し訳ないですが、またよろしくお願いします。 (2020年5月2日 17時) (
レス) id: ae2377b3ba (このIDを非表示/違反報告)
和泉(プロフ) - Ｍ.あらてぃーんさん» はじめまして！読んで下さりありがとうございます。前回から随分と日が経ってしまい申し訳ないですが、本日第4章に移行しましたのでまた読んでいただけると嬉しいです。 (2020年5月2日 17時) (レス) id: ae2377b3ba (このIDを非表示/違反報告)
なつき(プロフ) - はじめまして！最初から読ませていただいてます！大好きな作品です！ほんとに嬉しい！1年間待っていました！丁寧なお話の運びが大好きです。マイペースでいいので、また楽しませてください。お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。 (2019年9月16日 23時) (レス) id: 39c29155f9 (このIDを非表示/違反報告)
Ｍ.あらてぃーん(プロフ) - こんばんは！はじめまして。以前から和泉さんの作品、特にこの作品楽しみに読ませていただいてました。今日更新通知が来て慌てて読みました！嬉しくて。お忙しいと思いますが更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2019年9月15日 23時) (レス) id: 98f6efc424 (このIDを非表示/違反報告)
和泉(プロフ) - ひづきさん» ひづきさん、はじめまして^^以前から読んでいただいたと知り、とっても嬉しいです！マイペースな更新ですが、お付き合いくださいませ。また感想聞かせてください^^ (2018年2月10日 22時) (レス) id: ae2377b3ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：和泉 | 作成日時：2017年6月7日 18時
