飲み会でやらかした話【五条悟】 (ページ8)

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終盤は本音がこぼれがちページ8

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家入side

少し離れた席でAが机に突っ伏しているのが見える。店に来た時はあんなに気まずそうな顔をしていたくせに、いざ五条と話してみれば昔と変わらない様子のA。

アイツらはお互いに「仲が悪い」だの、「アイツ嫌い」だの言い合っているが、傍から見れば仲良くイチャついてるようにしか見えない。そのうちくっつくんじゃね？と思ってたけど、高専時代はそう上手くもいかず。

酒入ったらちょっとは面白い展開になるかなーと思って、今日は半強制的に連れてきてみた。

「しょうこぉ〜、Aと女子トークするぞぉ」

部屋の隅で寝ていた歌姫先輩は数分前に起き上がり、それからはずっとこれしか言わない。この歳になって女子トークって…この人いつまでたっても彼氏作らないけど、脳内乙女なんだよな。

「はいはい、じゃあA呼んでくるんで大人しく座っててください」

そう言って席を立ち、Aの座る席に足を向けた。

『ごじょーはわたしのことすきでしょ？』

「……はあ？」

そんなこんなで、その会話が聞こえたのは全くもって偶然であり、奇跡的なタイミングだった。どうやらAの泥酔により私の期待通りの、面白い展開になっているようだ。

背後にいる私にまだ気がついていない五条は、何度か口をパクパクさせた後、最適な言葉が見つからなかったのか「バカか」と言ってAの頭を軽く叩いた。

『顔に好きってかいてるよー』

「調子乗んな」

『ふふ、じょーだんでーす』

やっぱり傍から見るとイチャついてるようにしか見えん。この空気に入っていくのも面倒くさいし、出直すか。

『わたしは、ごじょーに憧れてるんだけどね』

席に戻る途中、Aの声が聞こえた。珍しく素直な発言に驚いて振り返ると、目を隠していても分かる五条の動揺した顔が見えた。

まったく、学生時代からずっともどかしい奴らだ。

私が席に戻ってからも、交友会がお開きになるまで2人で何か話していた。内容が気になるところだが…明日には酒の力でAは全部忘れているんだろうな。

「否定はしないんだ？」

解散後、店員にタクシーを呼んでもらい、Aと歌姫先輩を七海に一旦預けたタイミングで五条に声を掛けた。会計途中の五条が「カード一括払いで」と胡散臭い笑顔で言い放ったところだった。