呂律が回らなくなったら要注意 ページ7
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五条side
『ごじょー店員さん呼んでお水貰ってー』
「甘えんな自分で呼べ」
『いいじゃん別にそんくらい!』
コイツと話し始めて30分ほど経つが、ずっと喧嘩。
強気で、わがままで、マイペース。
ムカつく時が大半、でも少しほっとしている自分がいる。
よかった、昔と変わらない。
高専時代はどんなに距離が離れていても、会ってしまえば口喧嘩。そんな関係は卒業後も続くものだと思っていた。
しかし会うことも話すことも無くなった今。
こうやって昔と変わらず話せるのが懐かしくて、気を抜けば少し緩んでしまう口元。
今日は本来、コイツは不参加のはずだった。
事前の調査では不参加になっていたはずだ。見間違えではない。コイツの名前は何度も確認していた。
それなのに今日予告もなく突然現れやがった。明らかに気まずそうな顔をしながら。
そんな顔すんなら何で来たんだよ、と思う反面
内心喜んでいる自分がいた。
『へぇいいんだ!私が水なくて干からびちゃってもいいんだ五条は!』
「…酔ったお前って面倒くさいのな」
酒を飲んでいるコイツを見るのは初めてだし、酔ってだる絡みしてくるコイツも初めて見る。
ウザイけど、不快じゃない。
『ごじょーお水ー』
「ったく…すみませんお姉さん、お冷1つ」
『え、ごじょー、今日、優しい…!』
「あんま喋んな、滑舌悪くて何言ってるかわからん」
『うわーやっぱりキライ』
残った梅酒を一気に飲み干して机に突っ伏したコイツは、一体今日何杯飲んでいるのだろう。
頬は火照り、驚く程に呂律は回っていない。普段ハキハキと喋るコイツからは想像できないほどにゆっくり喋りやがる。
昔と変わらない、
でも俺の知らないコイツ。
『ごじょーねむいー』
突っ伏した体勢で喋るコイツは、今にも寝てしまいそうな小さな声でそう言った。
「寝んなよ、もうすぐお開きだから」
『ねえ、ごじょー?』
「次はなに」
やたらと名前を連呼してくるコイツに目を向けると、次は突っ伏した状態から、俺を見上げていた。
眠たそうで、潤んだ瞳と目が合う。
淡い桃色の唇がゆっくりと開かれた。
……やっぱり、昔と違う。
『ごじょーは わたしのこと すきでしょ?』
「……はあ?」
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来世は抹茶パフェ(プロフ) - 泥酔状態の夢主が自分と同じ過ぎて悶えてます、好きです。 (9月25日 3時) (レス) @page10 id: 7ab24f3f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポのみ | 作成日時:2023年8月10日 15時