【n.p.l】この想いを声に【l.n.t.n】 (ページ8)

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8.誤解だと気付いた時ページ8

店を出るタイミングが陽キャ男子大学生達とほぼ同じで、目的地への方向もほぼ同じだったため、なんとなく後ろを付いて行っているように見える俺。
追い抜かして男子大学生の視界に入るのも嫌だが、なんかコイツ付いて来てるぞと思われるのも嫌だ。
そんな自意識過剰を発揮しながら、微妙な距離を保って歩く。

丁度近所の公園に差し掛かったころ、一人の男子大学生があっ、と大声を上げて立ち止まった。
それにつられて他の奴らも立ち止まり、俺もつられて立ち止まる。少し恥ずかしい。

「あの子だよ！俺の財布とったの！」

そう言って指をさす方向に他の男子大学生+俺が視線を移すと、公園のベンチにあの少女が座っていた。少女はビクッと肩を震わせてこちらに気付く。

あぁ、そういうことか。と俺は一人で納得した。少女はただ、筆談するためにバッグを開けたのだろう。それがこの大学生に見られてしまい、バッグに入れる気だったと勘違いされた。
誤解されやすい部分だな、と思いながら、何も見ていないふりをしてその場を去ろうとした。大学生達を素通りして、自分には関係ない、と頭の中で何処かの誰かに言い訳をした。

公園を通り過ぎる時、少女のうめくような声。上手く声が出せないというのに、無理矢理出したような声。
それがなんとなく、俺自身も苦しく感じた。
ちらと横目で見てみると、大学生達が少女にウザ絡みしている様子が見えた。
自分には関係ないはずだったけど、なんとなく、良い気はしなかった。

はぁ、と小さくため息をついて、振り返った。