【n.p.l】この想いを声に【l.n.t.n】 (ページ41)

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41.待ち合わせをした時ページ41

「…おかしくない、よな？」

ぼそりと呟いて、鏡の前に立つ。ネイビーカラーのTシャツに、同じくダークトーンで統一したボトムス。そのままでは真っ暗な服装になってしまうので、差し色に明るい色を選んでいる。
水族館だし、男女だし。恋愛感情はないが、親しい男女が日時を決めて会うという定義には含まれているので、これもれっきとしたデート。下手な格好はできない訳で、悩みに悩みぬいて選んだ私服をもう一度確認してみる。

「…なんか緊張してきた」

忘れ物は無いよな、と持ち物を一通り確認し、時計を見る。待ち合わせの時間までには少し余裕がある。とりあえずAに連絡をしておこうと思い、LINEを開いてメッセージを送った。

蘭たんおはよーちゃんと起きてる?

Aおはようございます!ついに今日ですね! 楽しみにしてたんですよ～

すぐに既読が付き、メッセージが返ってきた。Aに限ってそんなことは無いだろうが、もし寝坊して遅れるなんて言われたらどうしようかと思った。“俺も楽しみにしてた”と送ろうとして、恥ずかしくなってすぐにやめた。最近やけに自分が気持ち悪くなっている気がする。
女子高生とのデートで浮かれている頭をガシガシと掻いてしまって、ボサボサになった頭を急いで直した。

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駅に着いて数分、待ち合わせの時間丁度にAが来たのが見えた。
ウエストにリボンのついた可愛らしいワンピース。いつもとは違う、ゆるく巻かれた髪。それらが風に乗ってふわりと浮かぶ。
ちょっと、いやかなり。ドキッとした。純粋に“こいつ可愛いな”と。
それに負けないくらい俺もオシャレしてきたのだから、と堂々と振る舞う。少しはイケてると思われたい。

「…おはよ」

挨拶をする代わりに小さくお辞儀をされ、じっと見つめられる。

『今日は一段とオシャレな気がします』

よし。今日のためにしっかり準備しておいた甲斐があった。髪もそれなりに整えてきたし、自分でもこれはいけるだろうという自信はあった。十分成果はあるだろう。

「…まぁ、そういうAこそ、髪巻いてきちゃってんじゃん？良いねそれ」

余裕ぶってそう返すと、Aは少し照れながら髪を触って微笑む。段々と本格的に恥ずかしくなってきたのか、逃げるように改札を指差してそろそろ行こうとアピールする。その耳まで真っ赤な姿に笑いながら、後をついた。