【n.p.l】この想いを声に【l.n.t.n】 (ページ27)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:36,728 hit

27.原因を話した時ページ27

.....

発声障害になった原因。

今となっては、自分に非があったというのはよく分かっている。
いつまでも子供の気分でいたんだ、と。

幼稚園、小学校の頃からよく言われていた、『何かあったら先生に言ってね』という言葉。
先生というのは偉大なもので、何か問題があれば大人として対応し、解決してくれる。
昔の私は、その力に素直に頼り過ぎていた。

中学生になってすぐのこと。
理科の授業で水を使って実験をしていて、その後片付けをしていた時。
水の入った水槽を持って水道へ流すだけの作業だったのだが、とある男子が悪ふざけで水槽の水をかけて遊んでいた。

そのかけた水が、私の方にも飛んでいった。結構な量の水を一気に飛ばしていたらしく、右側の袖がびっしょり濡れてしまった。

その頃の私は誰とでも話せるような性格で、今よりも遠慮のない物言いが多かった。
やばい、と一瞬静まったものの再びふざけ始めた男子に“ちょっと”と憤った声をかける。
無視しているか本当に聞こえなかったのか、私の方を向こうとしなかった。
謝りもしないなんて最低、これだから男子は。と心の中で悪態をつきながら教室へ戻る。
塗れてべったりくっついた袖が気持ち悪い。気休め程度にハンカチで水分を取っていると、先生から声をかけられた。

「四宮、腕どうしたんだ？」

「ああ、これ…さっきの理科の授業で男子に水をかけられちゃったんですよ」

ちょっとした愚痴のつもりだった。その男子の名前を挙げて、いきさつを簡単に話した。酷くないですか？って、同意を求めるだけのつもりだった。

「まったく、あいつは…後で話しておくからな。」

「え？はい…お願いします……？」

話しておくって、軽く注意するだけだよね？まさか説教まではいかないでしょ？
少し疑問には思ったが、その時はまだそこまで重大視していなかった。

その日の放課後、先生から呼び出された。

放課後の静かな教室に、私と例の男子が二人で残っていた。
彼は私に目を合わせようとしない。きっとこれから話される内容を理解しているのだろう。
先生が教室に入ってきて、私たち二人しかいないことを確認してから椅子に座った。
今日の理科の授業中に、と話が始まった。やっぱりあの時の事だ。

大事になってしまったかもしれないと内心焦りつつ、黙って話を聞いていた。