【n.p.l】この想いを声に【l.n.t.n】 (ページ14)

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14.連絡を取り合った時ページ14

A今日はありがとうございました

連絡先を交換し、さっそく四宮からメッセージが届いた。といってもまだ四宮は隣にいる。

蘭たんこちらこそ、奢ってくれてありがとう

隣にいるのにメッセージを送りあう不思議な感覚に、四宮がふふっと笑う。

どうやら家の方向が同じらしく、途中までは一緒に帰ろうということになった。
今も特に話題が思いつかない時は二人で黙って隣を歩いているだけで、ふと何か思いつけば少し話して、会話が終わればまた黙り込んでしまう。

部活帰りか何かの女子三人が自転車を漕ぎながら話をしている。少し視線が気になって目を逸らしつつ四宮の方を見ると、女子たちを複雑な表情で見ていた。

「…あんな風に喋りたいな、って？」

俺の質問に静かに頷き、メモ帳を取り出した。

『あんな風に蘭汰さんと話せたらな、って思ってました』

「学校の友達とじゃなくて俺とかよ」

四宮にとっては友達が今のところ俺しかいないのだから話す人といったら俺なのだろうけど、そんな文章だと俺に気があるみたいで変な気分になる。自意識過剰かもしれないけど。

『蘭汰さんは普段どんな人と話すんですか？』

質問に対して色々考えてみるが、リアルの人は特に誰も浮かばない。機嫌が良い時は割と話しかけるタイプだが、大体が仕事終わりで挨拶程度なので、特に話題があって会話している訳ではない。
それ以外で話すといえば、と思い浮かんだのはせいぜいナポ男メンバーくらいだが、友達かといったら…微妙。分かんない。

「…あんま話さないかも。話すとしても陰キャばっかだな～」

今時のJKだからか、陰キャの意味はちゃんと理解していた様で、苦笑いをされた。

『私もどっちかというと陰キャですしね』

皮肉なのか自虐なのか、少し不機嫌そうな顔をしてメモを見せてきた。
なんとなく“ごめん”と謝るとすぐに笑顔に戻って“謝ることないですよ”というメモを見せてきた。

少し歩いて、四宮が立ち止まって指を指す。おそらく帰り道が分かれたのだろうと思って、“またね”と返した。

『今日は楽しかったです！また会ったらお話しましょうね！』

メモを見せてから少しずつ離れていく四宮に、小さく手を振った。