第八十一話 ページ42
起きたら川沿いが慣れるどころか当たり前になってきた。
『早くしないと…。とりあえず紙と書くもの…。それから北村さんに見つからない様にしないと駄目なのか…』
それにしても如何して北村さんは私をこの世界に?恨まれる様な事はしてないと思うんだけど…。
いつも気にかけてくれてたし、それなりにいい関係だった筈…。対して覚えてないけど。
良くはしてくれていた。矢鱈と気にかけてくれていたし話を聞こうとしてくれていたし、あの世界から抜けさせようともしてくれていた。
あの時は中也さん、中也さんってそれしかなかったからな…それか?それが原因?
親切を無下にしたから?…あり得そうだけど、何か違う気もする。
『判らない事を考えても仕方ない。ここから出て真正面から本人い聞けばいい』
懐の手帳を取り出し手紙を書く。
此れを探偵社に届けて乱歩さんに答えを教えてもらう。探偵社の誰かが私を認識するのが先か乱歩さんが答えを発するのが先かは判らないけど、後者だった場合私が聞き逃さなければ戻ってしまった場合でも鍵を壊しに行ける。
***
「紙?国木田さん…扉に紙が挟まってるんですけど…なぞなぞ?」
「誰かの悪戯か?」
書いた紙を探偵社の扉に挟み込めば秒で谷崎君が見つけてくれた。
「何々〜?国木田読んでみてよ」
「はい。 部屋から出るには鍵が必要。鍵は壊して使うもの。鍵は人によって違うもの。此れまで鍵を使って部屋から出た人は一人もいない。鍵はなーんだ。…何なんだ此れは」
「それだけ?」
「はい」
「つまんない‼簡単すぎる‼しかも答えがあり過ぎる‼」
流石乱歩さん。だけどお願いします早く答えを教えてください‼
「答えが多すぎるって?」
「そうだなぁ…谷崎にとっての鍵はナオミちゃんだ」
「ナオミ?」
「そう。谷崎がその部屋に入ったとしよう。鍵はナオミちゃんだ。部屋を出るには鍵をナオミちゃんを壊すしかない。この場合殺すだね」
「そんな事出来るわけ‼」
「だから、部屋から出られない。自分よりも大事なものがある人間は結構いるしね」
自分よりも…大切なもの…それが鍵?
それを壊せば出られる…それじゃぁ私の鍵は………
「そこにいるの誰?君がこの問題持ってきたの?」
『あ』
視界が暗くなる。
鍵は見つけた…後は壊すだけ……壊す…だけ…。
乱歩さんを
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作成日時:2020年1月4日 10時