第六十話 ページ20
こんなに簡単に思い出すなんて…我ながら簡単にできてるな。
「三番思い出した?」
『うん』
「‼」
『礼朗が他の皆と一番と二番を作って私だけ仲間外れにされた‼って私が妬きもち妬いたから皆には内緒で二人で作ったんだよね。私の為に作ってくれたって知った時は吃驚したんだよ?』
「さ、砂姫…記憶が戻ったの?」
『完全にって訳じゃ無いけど…断片的になら…皆の事は思い出したよ。心配かけてごめん。見つけてくれてありがとう』
「砂姫っ‼」
『うわっ‼泣き虫だなぁ…私の方が泣き虫だったのに』
何時も泣いてた私を抱き締めてくれていた礼朗を今は私が抱き締めている。
どんなに心配を掛けただろう…もし私が逆の立場だったらと思うと考えるだけで吐きそうになる。
「にしても…こんなに簡単に記憶が戻るなら初めから歌っとけば良かった」
『まぁね…私もちょっと驚いてるけど…それよりも皆が探偵してる方が吃驚。しかもどうしてエボルブルス?』
「砂姫がエボルブルス好きって云うから。態々三番の歌詞に花言葉入れるくらいだし」
『あぁ…確かに好きだって云ってたな…。エボルブルスってさ花弁が五枚でしょ?私達と一緒って思って…いつも五人でいたから。それに綺麗な青が礼朗の瞳みたいだったし、二人の絆って花言葉を知ったら私達の花!って幼いながらに思ってたんだよ』
「俺の瞳…俺の青はもう少し暗いよ」
『青は青でしょ』
大雑把だなぁと云いながら笑う礼朗。随分大人っぽくなったけど笑う顔は変わらない。
皆、記憶にある姿から随分と大人になってたな…十五年だもんな。
「砂姫が記憶を取り戻してエボルブルスが漸く揃った記念だ。今日は祝宴を開こうか」
『え…あ。ごめん礼あ…』
「礼君‼大変‼真理ちゃん達に繋がらないどころか何んか三人くらい乗り込んできた!」
「…武装探偵社か…砂姫はここで待ってて。大丈夫、俺がちゃんと話をつけてくるから」
『え?ちょっと待って‼礼朗‼』
私の言葉を聞くよりもさきに部屋を出て行った礼朗と智ちゃん。
駄目だ…彼奴 人の話を聞かない…。
私がエボルブルスに入ると信じて疑って無いにも程がある。私は入らないよ?遊びには行くけど入らないんだよ。私は記憶が戻っても乱歩さんの側しか考えれないんだよ…。
『追いかけないと』
ちゃんと礼朗に私の思いを伝えないと。
大丈夫、礼朗なら判ってくれる。受け入れに時間がかかっても最後は絶対に。
…たぶん
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作成日時:2020年1月4日 10時