第五十三話 ページ12
「エボルブルスの情報が集まりました」
谷崎が資料を各自に回しながら軽い説明を始め、後ろでは妹のナオミが資料をまとめた内容を白板に書き込んでいる。
「エボルブルスは男女五人で結成している探偵社で人捜しを専門にしています。設立して間も無く、最年長で二十二歳と比較的若い年齢層で集まっているみたいですが評判はいいようですよ。表も裏も仕事は選ばないそうですが、裏の場合は料金をふんだくるそうです」
「取れるところから取るってやつだね。実に賢い」
「依頼成功率は十割なのでふんだくられようとも利用する組織も多いみたいです」
谷崎が坦々と説明をするなか、敦だけが資料を見て震えていた。
それに気づいた太宰が敦に問いかける。
「如何したんだい?敦君」
「如何してこの人達が…」
「知ってるのか?」
「はい…。僕がいた孤児院にいたんですこの人達が」
資料に写る四人を指差して敦は云う。エボルブルスの四人は皆、元孤児だったようだ。
「彼等が元々孤児だったという噂も有りましたが…敦君が云うなら事実だったようですね。
「…済みません。僕もこの四人しか会ったことなくて」
「その砂姫はAだ」
乱歩の一言に会議室の面々が動揺する。が、乱歩は御構い無しに話を続ける。
「此処には知らない奴も多いがAには幼少の頃の記憶はない。故に、砂姫だって可能性は十二分にある。Aが砂姫だった場合、情報が無いのに説明がつくしね」
「しかし、その…Aが砂姫だという根拠は…」
「礼朗だ。彼はAの砂姫の兄だろうね。年齢が一致するから双子だろう…。容姿も似てないことはないし、右耳のピアス。Aがつけてるのと一緒だ。それに、砂姫がAだった場合、今回の誘拐に説明がつくしね」
「で、でも‼この人達はそんな人攫いなんてする様な人達じゃないですよ‼すごく良い人達で…そう‼こんな僕にもご飯分けてくれたり」
自分が良くしてもらってた人達が自分の先輩を誘拐した事実を受け止めれないのか必死に弁解する敦。
「善人だろうとAが攫われたのは変わらない事実だ。Aと礼朗が兄妹なら尚更可能性は高い。御丁寧に花まで置いて行ったんだ。この四人が確実に犯人だ」
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年1月4日 10時