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「ヌナも気付いてるんじゃないの」
「仮に…仮にね、そうだとしてもたった一週間ちょっとだよ?ただ付き合ってたから勘違いしてるだけ…私はホン先輩の事入学した時から好きなんだよ」
「期間なんて関係ないでしょ。世の中には一目惚れでそのまま結婚する人だっているし」
「それは…そうだけど…」
チャンの言葉は一理あるけど、今更後戻りができるわけがない。そんな都合よく物事は進まない。
スマホの画面に映る日付を見れば、とうに先輩は教育実習を終える頃で、大学に来てるとは思う。
電車の時間は変えたまま、大学では避ける必要も無いくらいで、まだ姿は見てない。
いきなりカトクを送るのも気が引けるし、それに別れてからもう大分経つのに…なんて考えてると、テーブルをコンコンと叩かれた。
「ちゃんと気持ち伝えたら」
「でもさ…流石に振った側が好きですって言うのはどうなの?」
「別に良いんじゃない?」
「何だこいつって思われるかもしれないじゃん?何様だよ、連絡してくんなとか言われるかもしれないじゃん!?」
「そんなこと言うような人なの?」
「……全然」
「何だよ妄想かよ」
私がウダウダ考えてるうちにサラダもオムライスも食べ終えたチャンは、深すぎる皺を眉間に作ると、いつの間に頼んだのか分からない、イチゴのタルトにフォークを刺した。
タルトと上に乗ってた大きめのイチゴと一緒に私に差し出してきた。
「玉砕したら慰めてあげるし、罵られたら僕がその人罵りに行くよ。てか、後先考えない行動取るのは得意でしょ」
「それは褒めてるの?貶してるの?」
「どっちも。とりあえずその顔どうにかして。従姉のそんな顔見るために遊びにきたんじゃないんだよ」
「…はい」
後先考えないのは確かだけど、こうもハッキリ言われるとモヤモヤする。
久々にあった高校生の従弟相手に情けないとは思うけど、チャンなりの勇気付けの仕方だと受け取って、差し出されたタルトを食べた。
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和泉(プロフ) - avrillさん» はじめまして!コメント有難う御座います!ちょっと前作に出してた時とは違うジョンハンさんなので不安でしたが、そう言ってもらえると嬉しいです〜!更新時間がまばらですが、最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります! (2022年3月28日 20時) (レス) id: 8dc69dfd49 (このIDを非表示/違反報告)
avrill(プロフ) - はじめまして。このお話とっても行動も言動も可愛くて好きです!更新楽しみにしてます。 (2022年3月28日 18時) (レス) @page9 id: dd6824d8fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:和泉 | 作成日時:2022年3月24日 1時