ぬら孫『トリップ少女、半妖になる』 ―弍の章― (ページ24)

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第６９幕　開幕ページ24

皆様、聞いてくれ。

オレはあの後珱に連れとして大阪城に行ける事になった。実は自分にも不思議な力があるんですよー、って言ったら即どうぞ状態。いいのかそれで。

何でサトリにバレなかったのかって？
ずっと能力の練習とか、お城の作法とか延々考えて居たからだ。えっへん。

で、現在大阪城にいる訳だ。
そう、そして目の前には淀殿ならぬ羽衣狐が居るのだ。
ほっほっと笑ってそこに居るのだ。
もう一度言う。現魑魅魍魎の主で、最悪最強の妖怪がそこに居るのだ。

「し、心臓破裂するぅ…っ！」

「え！？凛、大丈夫ですか！？」

「言葉の綾だって。平気平気」

珱を安心させる為にへらりと笑ってみせる。
今のオレは人間だ。いつ秀元の力が見破られるか分からない。
が、オレはここに居る姫君達を護らなければならない。

オレが護らないと今そこに居る、未来を視る力を持つ貞姫、美しい髪を持つ宮子姫は羽衣狐に生き肝を取られ、死ぬ。

チャンスは一度しかねえな…。

「おお、待っておったぞ。…ん？そなたは…」

珱の横に居たオレに目が向けられる。
周りの出入り口を塞ぐかの様に座って居るのは妖怪だろう。
今ここで、オレの力を使うか。

「初めまして、淀殿。私は凛と申します。珱の事が心配で付いて来てしまった事、深くお詫び申し上げる」

「凛…とな。して、そなたも不思議な力を持つと聞いた。どの様なものか、今ここで示して見せよ」

「…分かりました。しかとお見届け下さい。これが私の力です」

すぅ…っと息を吸う。そしてゆっくりと吐いた。

「【結界】」

そうオレが呟くとオレの周り、姫君達の周りに淡く輝く光の盾が現れた。
それを見た皆は驚きを隠せていない様だ。

よし！第一難関突破成功！

「「「「！？」」」」

「ほう…。これは結界か」

「はい。私が言葉を発すればこの様な光の盾が現れ、“どんな”ものでも必ず防いでくれるのです」

そう、“どんな”ものでも。全ての事から護る盾。
例え羽衣狐が最強であろうと、あの尻尾でもこれは壊せない。

オレの言葉を聞き、眉を少し寄せる羽衣狐。
厄介な事になったのが分かったのだろう。
オレは姫君達を周りに結界を貼ったのだ。生き肝を簡単に手に出来なくなったのだから、計画は色々狂った筈だ。

「凛姫。そなたの能力はよう分かった。もう解いて良いぞ」

「はい、分かりました…とでも言うとでも思ったか？なあ？羽衣狐さんよお」

「「「「！？」」」」

そう言ってオレは立ち上がった。