第56幕 一瞬だった ページ11
一瞬だった。
ワシが目を奪われたのはーーーーー。
戦闘中に、ワシは此処とは別の場所に複数の妖気を感じ取った。
荒手かと思い、その妖気を辿った。
そして、辿り着いた先で出会ったのは………
ぬら:「桜…?」
初め見た時はそう思ったが、違った。
闘い舞う姿は人間でもなく妖。だが、『桜』の様に美しい。
あれだけの妖怪相手に刀一本で挑む女妖怪…。
かなりの強者と見た。
ワシの組に欲しいな…、あの女。面白そうな奴じゃ。
勝負はあっさりとついた。アイツの勝ちだ。
刀を納める姿や仕草、何もかもが美しく見える。
ワシはそいつに興味が湧いた。
ぬら:「お主、やるの」
「ッ!?」
明鏡止水で近付き、耳元で話せば、そいつはいきなり腕を振り上げた。
驚いたがそれを何とか受け止め、そのまま引き寄せた…と同時に見えた顔。
凛々しかった。
この世のものとは思えぬほど美しい顔立ち。そして何より目に入ったのはその瞳。
月光に照らされ、更に輝きを増す桜の瞳。
ぬら:「ほお?こりゃかなりの美人さんじゃねぇか。綺麗な桜色じゃ」
「は?……って、はああッ!!?」
そいつはワシの顔を見て、驚いたのか固まっていた。
その反応を見て、つい悪戯心が芽生えた。
ぬら:「何じゃ、ワシに惚れたか?」
「は!?ほ、ほぉッ!!?」
そう言うと、そいつは顔を真っ赤にし、金魚の様に口をぱくぱくさせていた。
どうやらこう言うのには慣れていないらしい。意外だ。
…こんな顔もするのか。
こりゃからかい甲斐があるってもんじゃ。
益々気に入った!
ぬら:「なあ、あんた。ワシの組に入らねぇか?」
「……………………は?お前、何言って…」
ぬら:「おお!忘れとった。ワシは奴良組総大将、ぬらりひょんじゃ。あんたは?」
「そう言う意味じゃねーんだけど。………音姫」
ボソッと聞こえた小さな声。
音姫……か。
えらく可愛い名前じゃなぁ。
ぬら:「よし!音姫。ワシの組に入れ!」
「断る!」
即答された。
何の迷いもなく、一瞬で。
しかし、ここで諦めるワシではない。何としても手に入れたい、そう思った。
ぬら:「何でじゃ!入れ!」
「嫌だ!」
ぬら:「は・い・れ!!」
「い・や・だ!!…つか、いい加減に【離せ】」
ぬら:「ッ!?」
その声を聞いた途端、ワシの意思とは関係無く、掴んでいた手を『離された』。
何が起こったのか分からなかった。
そして、気が付けばあいつはそこに居なかった。
一瞬だった。
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桜(プロフ) - 続きめっちゃ気になります! (10月3日 23時) (レス) @page25 id: 1fc4502f62 (このIDを非表示/違反報告)
チカ - 続きが気になりマックス (2018年6月27日 22時) (レス) id: 7c63f912f8 (このIDを非表示/違反報告)
アニメラブ(プロフ) - 面白い!!続きが待ちきれない (2017年12月22日 22時) (レス) id: 9491c8ca0e (このIDを非表示/違反報告)
春歌 - 続きがすごく楽しみです♪ (2017年11月25日 12時) (レス) id: b5a85efb84 (このIDを非表示/違反報告)
サヒア - 皆様〉応援ありがとうございます!今更ですが、頑張ります! (2017年8月29日 15時) (レス) id: 1d3fa82ba1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2015年2月23日 15時