【wrwrd】愛する君にこの花を。【短編集】

ゆらり、揺らめく（tntn） ページ1

自分で言うのもなんだが、私は浮気性である。

もちろん、浮気などしないで別れてしまえばいいのだがグダグダと付き合ってしまうのだ。

こんな私嫌いなのだけれど、それでも愛されてるというのは快感で。自分の存在が確かめられる唯一の方法だと思っているから止められない。

そして今回も。

最初は一途にトントンのことが好きだった。

忙しいのにいつでも私のことを考えてくれて、不器用ながらに伝えてくれる好きの言葉とふとした瞬間にポンポンと頭を撫でる大きい手が好きだった。

男友達と遊ぶにしろ、友人関係は大切にして欲しいと笑顔で送り出す。

大事にしてくれている。
その気持ちは彼が言葉にしなくても私にはもったいないと思うほど伝わってくる。

ただ、それが私にはそれがツラかった。
確かにトントンのことは今でも凄く好きで堪らない。その分、怖い。彼が離れていってしまうのが。

トントンが嫉妬心を表に出してくれないのは大事にしてはいるが、彼女としてではないのではないか。

そんな考えが過ぎってしまった。

そして、私は今までの浮気と違う彼に嫉妬してもらいたくて浮気をした。正確には浮気をしたフリ。

そんなこと始めた一週間後。


「なぁ……」

「なーに？」

「A、浮気しとるんか？」


トントンがいきなりそんなこと聞いてきた。

私をじっと見つめて、無言だが解答を急かしているのがわかる。

こんなに見られるのは告白されたときが最後かもしれない。雰囲気にそぐわないが、頰が熱くなりそうだ。


「……うん」


どんな反応するんだろう。

別れようって言われる…？
それとも俺だけを見てくれとか？

そんなことを考えていた所為か解答は自分の声か疑うほどか細く、震えていた。


「そっか……」


それだけ呟くと長く息を吐く。
そして。

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