６話目 ページ7
中にはざっと20人ほどの人がいた。ほとんどが身を寄せ合って、寝てるものやぼーっと宙を見てる者など様々だったが、こちらの気配に気付いたのか一瞬にして緊張した空気が走る。
比較的傷が浅いらしい青い狩衣の綺麗な男が他の人を守るように俺たちの前に出てくる。
「お主らは、一体何者だ。何故ここにいる？」
「お、れらは…その、今日から審神者？っていうのを頼まれて、来たんすけど…」
「帰ってくれ、すまんが俺たちはもう疲れたんだ……。審神者などもういい」
その目は、もう何もかもを諦めたような、そんな感情が浮かんでいた。
なんで……なんでそんなにつらそうに言うんだよ。
「何があったのか、詳しく聞くつもりはねぇよ……。けどさ、そんなつらそうな顔して…本当はこのままでいい訳ないって思ってるんだろ…？俺達も協力するしさ、別に主とか、元々そういうの俺の柄じゃないし…友達みたいに気楽な関係でやっていこうぜ？」
「友…だと？……はは、そんなことを言われたのは初めてだな。なんだろうな、お主も、そこの者も……温かい霊気に包まれておる……」
ふっと目元を緩ませて、男の俺ですら見惚れる笑みを浮かべる。
「もう一度審神者を…お主たちを信じてみてもいいかもな。……どれどれ、俺たちの為に涙を流してくれているのか？心優しい者なのだな…」
いつの間にか俺の目から流れていた涙を着物の袖でそっと拭い、あやされるように頭を撫でられ、だ
んだんと恥ずかしくなってきた。
でも、本当に嬉しそうに撫でてくるもんだから、仕方なく大人しくしといた。
「あのー、俺だいぶ空気なんやけど……と、取り敢えず…えっと、手入れ？をしてもええか？そのままやと、俺の心も痛なってくるし……」
後ろの方からレトさんが気まずそうに声を掛けてくる。
レトさんのことすっかり忘れてた。
「おー、そうだな。確か手入れ部屋って所でやるんだっけ？」
「そうさなぁ、では手入れを頼むとしようか」
不安そうな顔で俺たちの話を黙って聞いていた他の刀剣男士たちも、ほんとに少しずつだけど表情が明るくなった。ちょっとは心を開いてくれたってことでいいのかな。
幸い手入れ部屋というところはここから近い場所にあるようだ。
一度に入れるのは４人までだから一番傷が深い人から運び出そう。
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作者名：ルート√ | 作成日時：2018年6月12日 22時
