２話目 ページ3
さほど広くない部屋で、男5人がテーブルを挟んで座っている。
中々見れない異様な光景だ。
「ちょうどよく香坂海斗さんもいることですので、まとめて説明させていただきます」
隣で息を飲む音がした。
それもそうだ、公表していない、ほんとに身内しか知らないはずの本名で呼ばれたんだから。
「お、俺…あなた達知らないんですが……なんで名前、知ってるんですか？」
「俺も、それ気になってたんだよね。あんた達一体何者なの？」
二人で怪訝な表情を浮かべるものの、さして気にしていない様子で男は説明を始める。
…………
「要は、俺たちがその審神者ってのになって、歴史改変を止めてほしい、と」
「しかも行くところは、ブラック本丸？って……危ない気しかせーへんのやけど……」
ファンタジーに迷い込んだ気分だった。
ゲームのし過ぎでとうとう現実との区別がつかなくなったのかと…。
でも目の前で話している男が嘘を吐いてるようでも、冗談を言っているようでもない。
ほとんど勘だけど。
「でもなぁ…いきなり言われて、じゃあ行くかって訳にもいかねぇし…」
「知ってると思うけど、俺ら実況者やから、ここを離れるわけにもいかんのや。申し訳ないけど、別の人当たってくれへんか？」
「ええ勿論、存じております。しかしながら現在審神者の数がとても少なく……こうして我々とは別の次元の貴方様方にお願いしているのです。そこをどうか、考え直してはいただけませんか？」
「そういわれてもなぁ……」
緊迫した表情で頭を下げられるも、流石に待っている視聴者がいるのも事実。そう簡単に俺らも行くわけにはいかない。
「その、実況というものができれば、来ていただけますか？」
「え？そ、そりゃあ、まあ……実況が撮れるんなら…そこまで拒否するあれもないっすけど……」
男は少し悩むように顎に手を添えたかと思うと、俺たちにいくつか提案を言ってきた。
「月に三日間ほど、こちらに戻れるようにしましょう。本丸でのインターネット回線や、通話等はできるようにしてありますし……そうですね…あなた方が一緒に活動しているお仲間のみでしたら事情を話しても構いません。」
――ただし、守秘義務がございますので、ほかの方には他言無用でお願いします。
有無を言わさぬ雰囲気で言われ、俺たちはただうなずくしかなかった。
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作者名：ルート√ | 作成日時：2018年6月12日 22時
