一粒の砂２ (ページ9)

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小さき蕾は咲くか９ページ9

「翔ちゃん」

「ん？」

「友達ってなに？」

『友達』、それは俺がずっと欲しくてたまらなかったもの。

けどその友達自体に俺が求めていたものは、『StorM』を知った今、とても薄っぺらいものだったと思う。

そう思えるのは智君という存在のおかげだ。

今でも１人だったら・・・きっと『友達』を求めていただろう。

「雅紀は学校に『友達』はいるの？」

質問に質問で返しちゃ本当はだめだと思うけど、雅紀の真意が分からない状況で頭の中だけで考えた答えをいうのは違うと思った。

「『友達』・・・いたよ」

「そうなんだ。どんな『友達』なの？」

過去形で返ってきた答えに、今は？とは聞けなくて違う質問をした。

「クラスの『友達』や部活の『友達』とか・・・」

「うん。雅紀は学校のいろんな場所に『友達』がいるんだな」

「・・・」

「雅紀には『友達』がいるのに『友達』が分からないの？」

「・・・」

雅紀は黙ったまま、消えたライオンを探すようにカップへと目線を反らせ、うつむいたまま黙り込んだ。

俺はいつまででも待つ。という意思も込めて暖房が効いているこの空間に暑さを感じてブレザーを脱いだ。

すると雅紀も暑さを感じたのかカーデガンの袖を肘までスッと上げた。

そして上げた自分に驚いてすぐに下げた。

その一瞬を俺は見逃さなかった。