一粒の砂２ (ページ5)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:52,723 hit

小さき蕾は咲くか５ページ5

「翔ちゃん！！」

ブンブンと手を振り、冬でも健康的な肌に白い歯を浮かべて笑顔で走って来る雅紀。

いつも私服の彼しか知らないから、制服がやけに新鮮に映った。

「ごめんね。急に・・・」

「別にいいよ。暇だったし」

「翔ちゃん、甘いもの好き？」

「えっ？」

「ってか好きだよね？スタバに行くと必ずフラペチーノ頼むもんね」

「・・・うん」

雅紀は俺が『甘いものが好き』ということを確認すると、携帯で何か検索をしだした。

でも俺はフラペチーノが好きっていうわけじゃなく、５人でいるときに飲むフラペチーノが好きなんだ

だから普段から飲むかと言われたら、全く飲むことはなくて・・・

フラペチーノを飲むことで、夢だった現実をよりリアルに感じられるような気がしてたんだ

だけど雅紀が俺を見ていてくれたことが嬉しかった。

「あのね、ふわふわのパンケーキがあるの」

携帯画面をひょいっと俺に見せる。

そこには小さなカフェの外観と素朴なパンケーキの写真が写っていた。

「井の頭公園の近くなの・・・ちょっと歩くけどいい？」

「いいよ」

なんか意外だった

中学生の俺達が行く場所なんてマックやスタバ・・・にのとなんて何時間もいるからほとんどファミレスだ

それに喧騒から離れた静かなカフェと雅紀が結び付かない

だけど、すたすたと地図も見ずに進む雅紀。

通いなれた店なのだろうか・・・

俺はただ雅紀について行くしかなかった。