過去に想いを馳せても今は変わらない２ ページ29
この曲を弾いてたあの頃
俺達はもっと純粋だった
メンバーにも
音楽にも
訳もわからず湧く苛々にも似た『愛』にも
ドン！！！
智が歌うのを止め、俺もベースから指を離し音がした方へと目線を向けた。
だけど、にのは聞こえていないはずないのに弾き続けている。
ドン！！！！！
それに抗議をするかのように、更に強くドアがなった。
しかし、それでもにのは止めない。
「いい加減にしろ」
「・・・」
「にの！？」
「・・・」
「止めろ！！！」
悲鳴のような声で翔君が耳を塞ぎながら、にのを睨んだ。
それを横目で確認したにのは、今まで見たことがないくらい冷たい目で翔君を見ていた。
「止めろ？よくあんたが言えるね」
「にの！？」
「潤君は黙ってて」
「・・・」
「翔さん、分かってるんだろ？」
「・・・」
「あんたが今、俺達の夢を壊そうとしてんだよ！！！」
「にの！！」
「黙ってろ！！！！」
「・・・」
「翔さん。あんたの私的な想いが『StorM』を不安定にさせてる」
「・・・」
「分かってんだろ？」
翔君の真っ赤な目がギッとにのに向けられた。
「今回のツアーから外れてよ」
「はっ？」
「『StorM』に背中を向けている奴がいると、みんなの調子が合わないんだよ。それくらい音楽齧ってるなら分かるだろ」
にの！！言い過ぎだ！！
と口を開く前に、翔君がにのに飛びかかった。
「『音楽を齧ってる』だと？」
「あぁ。あんたはプロじゃない。あまちゃんのアマチュアだね」
「っ・・・」
「プロの『StorM』にアマチュアはいらない。なぁそうだろ？まーくん？」
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作者名：ゆい | 作者ホームページ：http://img.u.nosv.org/user/iz2
作成日時：2016年10月16日 22時
