一粒の砂２ (ページ26)

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小さき蕾は咲くか２６ページ26

『いつか』

それは未来

遠い日に希望を抱く

だけど

『いつか』

来るかもわからない日へ

逃げる

「雅紀・・・」

「でもね、もしこの『いま』の気持ちを分け合うことができたら、楽しい、幸せ！っていうのじゃなくて苦しい、辛いも言える誰かがいるなら・・・それは孤独じゃないよね」

「あぁ」

「俺は翔ちゃんと現在(いま)を分かち合いたい。現在(いま)の翔ちゃんをもっともっと知りたい。翔ちゃんにもう孤独を感じて欲しくない！！だから・・・だから狡いかもしれないって思ったけど、俺の孤独を知ってくれたら・・・翔ちゃんも話しやすくなるかな？って・・・ごめん。なんか俺・・・卑怯だ」

ごめん

ごめん雅紀

嬉しいよ

けど

「卑怯だなんて思わないよ」

「本当？」

「あぁ。だけど・・・雅紀に俺を分かって欲しいなんて思わない」

「えっ？」

「ねぇ雅紀？」

「ん？」

「人はさ、誰かの弱さを知ると自分は相手にとって特別な存在なんだと思うんだと思う。現に俺も思ったし・・・あれからずっと雅紀のことを考えてた」

「しょ・・・」

「でも、だからと言って、もし俺に孤独があったとしても雅紀には言わない」

「・・・」

「雅紀にも智くんにもにのにも潤にも言わない」

「・・・大ちゃんにも？」

「あぁ」

「そう」

「・・・」

「翔ちゃん」

「・・・ごめん」

「ううん。俺の方こそごめん。勝手に想像して、翔ちゃんの心の中に入ろうとしてたんだし」

「・・・嬉しかった」

「・・・」

「どんな理由があったとしても俺だけに打ち明けてくれて、嬉しかった」

「うん」

「その理由が俺を知りたいって思ってくれたっていうのも嬉しかった」

「翔ちゃん・・・」

なぁ雅紀

『いつか』言えるかな？

こんな俺でも『いつか』に希望をもってもいいのかな？

その時、現在(いま)みたいに、雅紀は俺のこと思ってくれてるかな？

「でも」

雅紀が言うように現在(いま)が過去も未来も作るなら、俺は・・・今、１つだけ伝えたいことがあるんだ。