一粒の砂２ (ページ22)

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小さき蕾は咲くか２２ページ22

「翔ちゃん」

「ん？」

「翔ちゃんから言われたから動けたんだ」

「・・・」

「他の誰かじゃ、だめだった」

「雅紀？」

「あの詩(うた)を書いた翔ちゃんの言葉だったから・・・」

「うん」

「ねぇ翔ちゃん」

「ん？」

「あの詩(うた)を初めておおちゃんから読んで感想を聞かせて欲しい。って言われた時、この中に出てくる『ボク』は俺だと思った」

「・・・」

「俺・・・多分クラスでも部活でもなんとなく目立つタイプなんだと思うんだ。目立ちたいって思ってないけど人が集まってくれて、わいわい見えちゃうっていうか・・・」

「うん」

「もちろん、わいわいしてるのは楽しい」

「うん」

「でも、時々ふと感じるんだ」

「・・・」

「『相葉、また女子から呼び出しだぞ！』『お前またレギュラー選ばれていいよなぁ。監督のお気に入りは違うね』とか・・・なんとなく黒いモノを感じてて」

「うん」

「ずっと気にしないふりして笑ってだけど・・・まぁそれも最終的にはっきり聞くはめになったけど」

「雅紀・・・」

「そんな違和感を感じてる時にさ、あの詩(うた)は教えてくれたんだよ」

「・・・」

「今、俺が経験しているモノは誰かと幸せになるための栄養なんだって・・・あの詩(うた)の『ボク』はさ・・・幸せの花を咲かせるための栄養なんだって、マイナスな気持ちをすごく優しい気持ちで包んでた。悲しいや苦しいはあっても、誰かを恨むような気持ちはなかった」

「・・・雅紀」

「ん？」

「きっとそれは雅紀が綺麗だからだよ。そして智くんがそうやって歌ってくれているから・・・」

「翔ちゃん？」

あの詩(うた)はそんな綺麗な詩じゃない。

とてつもなく強がりで絶望的な詩。

だってそうだろ？

誰かと幸せになる未来なんてないんだから。