一粒の砂２ (ページ21)

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小さき蕾は咲くか２１ページ21

「もしもし？」

トゥルルと鳴っていたはずの電話から急に雅紀の声が聞こえて来て、頭が真っ白になった。

「もしもし？翔ちゃん？」

「あっ・・・」

「ごめんね。ちょっと先生に質問してたらおそくなっちゃって・・・」

ほら、俺のことを忘れて遊んでいたわけじゃなくて、雅紀はちゃんと勉強をしてたじゃないか

自分のバカな思考を情けなく感じる。

「・・・頑張ってるんだな」

「うん。にのや潤は頭良いからね。俺は部活ばっかで勉強してなかったから今頃焦ってやってる感じ」

「そっか・・・志望校、一緒だもんな」

「うん。中学は学区が違くて２人と離れちゃったから、今度こそはね」

「雅紀なら大丈夫だよ」

「・・・だと良いけど」

「あのさ・・・」

「ん？」

「あれから、学校どう？」

「あっ、うん。大丈夫だけど、大丈夫じゃない・・・かな？」

「えっ？」

「あの次の日にね、昼休み俺を省いていた奴らの所に行ったの」

「・・・」

「『俺は加藤のことも小林のこともすっげー良い奴だと思ってた。その気持ちは今も変わらないから』って」

「そっか・・・頑張ったな」

「ふふふ、翔ちゃんの受け売りだけどね」

「違うよ雅紀。アドバイスをするのは誰にでも出来る。正論を言えばいいんだ。それを行動に移すのは雅紀自身の強さだし、かっこいいと思うよ」

頭では分かっていても、人には当然のように口に出来ても、行動に移せない俺にとって雅紀は本当に憧れだと感じた。