一粒の砂２ (ページ14)

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小さき蕾は咲くか１４ページ14

あれから岡ちゃんが狙ったようにパンケーキを持ってきた。

そして、サービスと出されたカップにはまた可愛いラテアート。

俺のは片耳折れたうさぎがウィンクをしていて、雅紀が嬉しそうに覗き込んでいるカップには２匹のうさぎが仲良くハートを作っていた。

雅紀はそれを形を崩さないように綺麗に飲むと薄っすら鼻の下に付いているミルクの髭を付ける。

俺はそれを、知らせるために自分の鼻の下をツンツンと指すと、雅紀がニッと笑って舌を伸ばして舐め取った。

「ふふふ。付いちゃってた？」

「うん」

「ねぇ」

「ん？」

「似合ってた？」

「えっ？」

雅紀がさっき俺がしたように鼻の下をツンツンと指しす。

「ひーげ！！」

「うん」

「むぅ。まだ似合わないか・・・」

俺が『似合ってた』と望んでいる答えをなかなかしないので、雅紀は分かりやすくしゅんとした。

「・・・何歳になったら似合うようになるんだろう？」

「・・・」

「早く大人になりたいなぁ」

雅紀はそう言うと今度はわざとミルクのひげを作って見せてくる。

だけど、さっきまで大好きだと思った笑顔がモノクロになって、俺は上手く表情を作れなかった。

大人になんかならないで

大人になったら

雅紀の側に

『StorM』の中に

俺はいない

大人の俺は存在しない