金木犀【treasure】 (ページ12)

今日:5 hit、昨日:38 hit、合計:49,979 hit

12、不安ページ12

店長「ん？？、、あー。
　なんかAちゃんって年上の人選びそうだなって。」

年齢、、、。
あまり気にしたことがなかったな。

「、、、そうですかね。
　あんまり年齢にこだわりを持ったことはないです。」

店長「ま、そうだよね。
　 Aちゃんはそういう子だったわ。」

「店長は、どっちが好きとかあります？」

店長「んー、、、、。」

マグカップを拭きながら尋ねると、
店長は思い出すように話し始めた。

店長「私も別に年齢で好きになったりすることはないんだけど、
　
　ただ、昔一度だけ年下の男性と付き合ったことがあってね、
　その子は大学の後輩だったんだけど。

　告白されて付き合って、
　一緒にいるうちに私はどんどん彼を大好きになっていったんだけど
　あんまり長続きしなかったんだ。」

悲しげに笑う店長の顔は
いつも明るく笑う彼女からは想像ができないくらい切なかった。

「、、、、何か理由があったんですか？」

店長「んー、、、。
　
　私大学では今の仕事とは全く関係ないこと勉強してたんだけど、
　入ってた学部がすごく男性が多い学部でね、

　研究とかするときもどうしても男性と一緒になることが多くて。

　もちろん、私も研究相手の彼もまったくその気はないんだけど、
　年下の彼としては色々感じることもあったみたいで。

　私はデートで男性がお金を払うのは当たり前、
　みたいなのが嫌いだから
　彼とのデートでも必ずお金は出すようにしてたんだけど、

　彼はそれが、自分が年下で頼りないから。
　って思っちゃったんだって。

　
　一緒にいても常に気を張ってる感じで、

　半年たったあたりで、
　あなたを凄く好きだけど、僕はもうこれ以上頑張れない。
　って言って振られちゃった。」

そんなこと考えてもいなかったな。

彼は、、、、

よしのり君は自分が年下であることを
引け目に感じていたりするだろうか。

私といて、心が安まらなかったりするだろうか。

「、、、本当にその人を好きだったんですね。」

店長「うん。とっても大好きだった。

　でもそれをうまく伝えられなくて、
　たくさん不安な思いをさせちゃったんだよね。」

不安、、。

そういえば今日、ご飯を一緒に食べた時も
私に何かを尋ねるときは
毎回不安そうな表情を浮かべていたな。