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追われる者たち ページ9




薄れゆく意識の中、ただひたすらに願った。
──信じて欲しい。君自身の可能性を。

この願いは、届くのだろうか。




IV




「北人っ!」



支配人が何事かを呟いた瞬間、北人の姿が涼太の腕の中から忽然と消えた。
それと同時に壁の画像も全て消え去った。



涼「北人は何処だよ!」



焦り叫ぶ涼太に向け、穏やかな声が返される。



『彼は鳥籠の中です。怪我一つありません』



その言葉に涼太は険しい表情で、ここの部屋に入る前に見たホールの様子を頭に描いた。
天井から吊るされていた大きな鳥籠、そこに北人がいるのだと言う。

もしも、彼らが失敗をすれば、きっと北人はその場所から落とされる。
抵抗する術のない北人はただ、涼太や仲間たちを信じることしかできない。



「誰か一人でも残ってる間は、絶対に落とすなよ」

『勿論です。ルールを破るような愚かな真似は致しません』



低い声でそれだけは確約させ、涼太は頭を切りかえた。彼との約束を果たすために。

ゲームはもう始まった。 流れる音楽も序曲から変化した。

涼太はバッグを漁り、ハンドガンを手に取った。それを握り引き金に軽く指をかけた状態で目を閉じ、神経を集中させた。
イメージトレーニングがこんな場面で役立つかは分からないけれど、覚悟をするには必要だった。
リアルに何者かを撃つことになっても、必ず勝ち抜くために。



『一つ、贈り物をしましょう。自ら生贄になった勇気ある彼に、地図を。鳥になった気分で眺めるのも良いでしょう』



流れた声に『アイツ地図よめたっけ?』なんて思い、涼太は目を閉じたまま浅く笑った。


△→←▽



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(プロフ) - かたはまさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです…!期待に応えられるように頑張りますね、これからもよろしくお願い致します! (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1c76571629 (このIDを非表示/違反報告)
かたはま - すごい面白くて、世界観に引き込まれます!これからも、楽しみにしてます! (2020年4月18日 23時) (レス) id: 9a78e2b3a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年3月3日 15時

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