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『まずは生贄のキャスティングを』
亜「は?何言ってんの?」
響いた声に亜嵐が苛立ちを向ける。
自分に酔ってんじゃねぇよ、と愚痴るように呟きながら、無意識に額の汗を拭った。
『生贄が扉を開く鍵となります。さぁ誰が名乗り出ますか?』
声に滲む嘲りに苛立ち、誰かが舌打ちをした。
どうやら相手は向こうのルールに乗らなければこの場所からさえも出す気は無いらしい。
置かれている状況について分かるのは、常識を超えた妙なゲームに巻き込まれてしまったことだけだ。
涼「だからさ、俺たちに何させたいの。歌劇とか気取ってるけど、結局ゲームでしょ?」
颯「ゲームなら最初にルールの説明が必要じゃないですか?」
比較的冷静な目をした二人がそれぞれの部屋から声を投げ掛けた。それにクスリと笑う声が漏れる。
『それは大変失礼致しました。では、ご説明しましょう』
そして重厚な音楽をBGMにゲームのルールが語られた。
ルールは単純だった。
1、三体の鬼から二時間隠れる
2、支配人からスイッチを奪う
どちらかのクリア条件を満たした時に生きていた人の勝ちであり、一人でも生き残れば、生贄も無事に解放される。
アイテムは持ち物、室内にある物、共に何を使っても構わないと言う。
そして、彼らの持ち物に入っていた武器についても説明があった。
ソフトボールより少し大きなサイズ感のあるカプセルは複数の敵を一定時間足止め可能な煙幕が入っていて、ハンドガンタイプのエアガンは多少の殺傷力があり単数への攻撃が可能。装弾数は25発。
その内容は、サバイバルゲームの説明のようだった。
隠れて、逃げて、それだけでいいのだと思うと気持ちが楽になる。
ワープの件はよく分からないけれど、よく出来た手の込んだホラー系アトラクションなんじゃないだろうか。そもそも、ここは遊園地だ。
希望的観測がいくつも浮かび、彼らの表情が緩みかけた。
けれどその希望は無残にも打ち砕かれる。
『最後に、これまでの逃亡者の戦いと結末をお見せしましょう』
言葉と共に、映し出されていたメンバーの様子が、違う映像に切り替えられた。
誰もが息を呑み、瞬きを忘れて固まった。
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霙(プロフ) - かたはまさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです…!期待に応えられるように頑張りますね、これからもよろしくお願い致します! (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1c76571629 (このIDを非表示/違反報告)
かたはま - すごい面白くて、世界観に引き込まれます!これからも、楽しみにしてます! (2020年4月18日 23時) (レス) id: 9a78e2b3a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霙 | 作成日時:2020年3月3日 15時