僕が選んだ罪、鬼の涙。 ページ35
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もしも。
この日のことを振り返れる日が来たら、
キミはどんな顔をするのかな。
�将�
必死に逃げてゆく白い影。
追いかける方も必死だった。
はったりなどでは無かった颯太の状況。
もしも彼が自分よりも先に鬼に捕まってしまえば、あの声の通りになってしまう可能性が一気に高まった。
『慈悲もなく、あっさりと、壊される』
思い起こすだけで胸が潰れそうになる。
そんなことになってしまえば、気が狂って何もかもを壊してしまうかもしれない。
颯太ではなく、亜嵐が。
床に小さく残される彼の足跡。
ガラスで傷を作ったハズなのに、彼の走りは止まらない。その運動神経の良さを初めて呪い、どうすべきかと酸素の不足する頭を悩ませた。
そして、走りながら背負ったままのカバンを探り、紫のラインが入ったハンドガンを取りだした。
人としてはダメだと思った。
だけど、それしかないと思った。
無事では済まない。だけど傷はつけても、命までは奪わない程度の威力なのはこの目で確認したから。
──キミを奪われてしまうくらいなら
叫びたいほどに嫌だった、辛かった、泣いてしまいたかった。
どうして、自分は、彼の心も身体も傷つけてしまうことしかできないんだろう。
昔も、今も、ずっとずっと。
───こんなにも、愛しく想っているのに
不器用な恋は、自覚するのが遅すぎた。
憎悪の目さえ向けられるこんな最悪な展開で。
関係者エリアへ続く扉。焦った颯太が開くのに手間取っていた。
亜嵐との距離が一気に縮まる。
振り返る顔が恐怖に歪んだ。
「来ないで！！」
怯えて拒絶するその目が映すのは、間違いなく"亜嵐"だけ。
たまんねーな、と亜嵐は切なく微笑んだ。
できれば無傷で捕まえたい。
今がその最後のチャンスだった。
けれどあと少しのところでなんとか扉を開いた颯太が、その隙間からするりと逃げていく。
また遠ざかろうとする背中。
もう、他に打つ手がなかった。
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霙(プロフ) - かたはまさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえると凄く嬉しいです…！期待に応えられるように頑張りますね、これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月21日 1時) (
レス) id: 1c76571629 (このIDを非表示/違反報告)
かたはま - すごい面白くて、世界観に引き込まれます！これからも、楽しみにしてます！ (2020年4月18日 23時) (レス) id: 9a78e2b3a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霙 | 作成日時：2020年3月3日 15時
