ふたりの悲劇の幕開け ページ32
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このままじゃ、終われない。
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「あのバカを起こしてくる」
水色のラインの入ったハンドガンを手に亜嵐が涼太を見た。
大丈夫だとしっかり頷き、互いの左手を固く組み合わせた。
「亜嵐くん。場所は大丈夫だよね？」
「ステージの上だよな」
「鬼は今、三体とも四階をウロウロしてるらしい。たぶん、こっちの動きを見るために遊ばせてるんでしょ。でも、気をつけてよ？」
「了解」
離した手を拳にしてもう一度ぶつけ合う。
そして、亜嵐は部屋を飛び出した。
緊張に足がもつれそうだったけれど、懸命に前だけを見てがむしゃらに走った。
先のことを思うと不安だらけだった。
でも、何度考えても、亜嵐にはこの方法しか選べなかった。
なにより、会いたくて。
目で見て声を聞いて手で触れて、生きてるって、確かめたかった。
それに、なんとなく、自分なら大丈夫なんじゃないかって根拠の無い自身もあった。
颯太が自分を怖がるはずがないって、そんな風に楽観視していた。自分だけは違うんだって、そう思っていた。
颯太は。
たとえ嫌われていても、亜嵐のことを好きだと言ったのだから。
「この先に……」
ホールへと続く扉の前に立ち、息を乱したままその重い扉に手をかけた。
密閉された空間をこじ開けるような抵抗を感じながら開いた亜嵐は、三歩ほどホールの中へと進み、そして立ち止まった。
彼の視線はステージに向けられていた。
亜嵐が到着するのを待っていたかのように、ホールの照明が落とされた。
ステージ上に置かれた透明な箱。そこに月の光を凝縮したようなスポットライトが当てられて、その閉鎖された空間に漂う異質な空気をキラキラと照らしていた。
静かにおりていくキラキラは、そこにひとりぼっちで横たわる"彼女"に降り注ぎ、そして消えてゆく。彼女のフェイクのブロンドも白いドレスも受け止めた光を纏っていて。
まるで、作り物の人形のようだった
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霙(プロフ) - かたはまさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえると凄く嬉しいです…！期待に応えられるように頑張りますね、これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月21日 1時) (
レス) id: 1c76571629 (このIDを非表示/違反報告)
かたはま - すごい面白くて、世界観に引き込まれます！これからも、楽しみにしてます！ (2020年4月18日 23時) (レス) id: 9a78e2b3a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霙 | 作成日時：2020年3月3日 15時
