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助けたければ、助けろ。つまりはそういうことなのだろう。
相手にしてみれば、もしも颯太を救い出したとしても、また一つ新たなゲームが始まるに過ぎないのだから。



「くっそ……!」



事態を好転させようと決起をしたところに突きつけられたこの状況に、心がざわざわと騒ぐ。
迫られる判断。そして新たに作られた制限時間がまた一つ重く伸し掛る。

亜嵐はソファに乱暴に座ると頭を抱え、髪の毛をぐしゃぐしゃとかき乱した。

目を閉じれば、ゲームの初めに見せられた悲惨な場面がリピートされた。その可哀想な誰かの姿が次第に泣き叫ぶ颯太の顔と入れ替わり、どん、とソファを拳で力任せに殴った。



「……どうしろって言うんだよ」



項垂れて呟くと、その問いに答えるように耳に聞き慣れた声が再生された。

『もしも捕まったら、その時はサクッと見捨ててください』

颯太は確かにそう言った。
強がりなんかじゃなく本心で。自分ではなく、臣を助けろと、そう言った。

そして、事実。彼は足を引っ張ってしまうくらいならと簡単に命を棄てようとさえした。

颯太の望みは間違いなくそこにある。



「じゃあ、お前はどうなるの?お前のことは、誰が守るの?」



呟いた言葉が届くことがないことは分かっていた。けれど、新たに流れた涙が亜嵐の心を突き刺した。



───馬鹿。泣くほど弱い癖に。

お前が強くないことなんか、知ってたよ。
だからずっとそばに置いて守ってきたつもりだったのに。
過去のあの日。お前が背を向けたあの日のことを、雛が巣立つように離れただけなのだと思っていた。仕方ないことだと諦めていた。
けど、違っていた。

『アナタは僕が嫌いだから』

『僕は、それでも好き』

俺たちは、どこかで何かを見失った。
もうこれ以上、失うわけにはいかない。

取り戻したいものがある。
伝えたいことがある。
解らせたい想いがある。

泣かせてでも、怖がらせてでも、例え、恨まれても、死にたい……と思わせてでも。

絶対に、絶対に、失えない。


だから───



亜嵐は右手のハンドガンを握り直すと、壁際のキャビネットの傍で亜嵐の様子を見守りながらインカムで北人と何かの確認をしていた涼太を振り返った。


▽→←動き出す新たなゲーム



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(プロフ) - かたはまさん» コメントありがとうございます!そう言ってもらえると凄く嬉しいです…!期待に応えられるように頑張りますね、これからもよろしくお願い致します! (2020年4月21日 1時) (レス) id: 1c76571629 (このIDを非表示/違反報告)
かたはま - すごい面白くて、世界観に引き込まれます!これからも、楽しみにしてます! (2020年4月18日 23時) (レス) id: 9a78e2b3a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年3月3日 15時

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