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「畜生、なんでこんな目に」
焦った気持ちを吐き出した時、健二郎は一度瞬きをした。『なんで、こんな目に』？
「もう単なるゲームじゃないで、コレ。絶対、なんかあるやろ」
顔を上げた健二郎は辺りを見渡した。
劇場というかくれんぼの舞台には似つかわしくない子供部屋。
『子供部屋……？なんでこんな所に？』
臣もその違和感を言葉にしていたことを思い出す。
青を基調とした可愛らしい雰囲気のその部屋からは、大切にされている男の子の姿が安易に想像できた。
自身の幼少期との違いに苦いものを感じながら木製の机の引き出しを引いた。
そこには。
子供部屋には似つかわしくないものが入っていた。
赤茶けた表紙のアルバムに似た感じの本。
健二郎はその中央に書かれた流暢なスペルを指で辿った。
「スクラップ、ブック……？」
新聞記事を切り抜いて挟んだりするアレやろ？と思いながら健二郎はそれを手に取った。
中身は英字の記事の切り抜きだった。
最初の数ページは、この劇場ができた時に特集として取り上げられた時のもののようだった。
それから、上演されたオペラの広告のようなものも綺麗にスクラップされていた。
ふーん、と呟きながらパラパラと捲っていた健二郎の手が、最後に近づいたあるページでピタリと止まった。「え……？」と呟き顔色を変え、スクラップブックを机の上に広げた。
「これって」
心臓が煩く鳴り始めた。
これを知ったところでなんの役に立つのかは分からなかった。
けれど、知らなければいけない気がした。
そこに書かれている言葉を、知り得る語彙を総動員して慎重に読み解いていく。
そして時間をかけて大体の内容を把握した健二郎が、詰めていた息を吐きながら更にページを捲ると、そこは最終ページで。
幸せそうに笑う家族のセピアに色褪せた写真が一枚、飾られていた。
「どういうことなんや……？」
眉を寄せた健二郎がそう呟いた時、館内に流れていた音楽が終わりを迎えた。
しん…とした静寂。
臣を目の前で失った時と同じ状況に、健二郎は表情を強ばらせた。
その嫌な予感は無慈悲にも当たり、壁には次の犠牲者が映し出される。
「……え？……そう、た？」
そこに映された人物の、記憶とは全く異なる姿に息を呑む。
読んだばかりの記事から拾ったキーワードが、震えた呟きとして健二郎の口から零れた。
「二人目、娘、強 姦、発狂……死亡」
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霙(プロフ) - かたはまさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえると凄く嬉しいです…！期待に応えられるように頑張りますね、これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月21日 1時) (
レス) id: 1c76571629 (このIDを非表示/違反報告)
かたはま - すごい面白くて、世界観に引き込まれます！これからも、楽しみにしてます！ (2020年4月18日 23時) (レス) id: 9a78e2b3a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霙 | 作成日時：2020年3月3日 15時
