自己犠牲の花の色 ページ18
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あの時、どうすれば良かったのだろう
今も答えは、見つからない
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白いモヤに包まれた三階の廊下の一角。
肩で荒く息をして柱の陰に隠れながら、颯太はインカムを外した。
電源は二体の鬼に見つかった時に切った。
情けなく怖がる声は拾われてないだろう。
もう、未練もない。
ない、ハズだ。
鬼から逃げる前に危険を冒して拾ってきた空のカプセルに、電源を入れ直したインカムを迷いなく入れ、かちりとひとつのボールに閉じる。
そっと指先でボールを撫で、祈るように額にあてた。
───チャンスは一度だけ。
颯太は、このインカムを最も有効活用できる人物に渡すことで、戦況を変えようとしていた。
地図を渡されているはずの、北人に。
どんな地図なのかは分からないけど、そこはもう、賭けだった。
北人は賢いから、きっと大丈夫。
北人の言葉なら、みんなを変えられる。
皆が前に進むための踏み台は僕にぴったりの役目だと颯太は自嘲した。
だからこそ、失敗はできないと。
「さよなら、亜嵐さん」
聞こえることは無い言葉を呟いた。
この先がどうなろうとも、拗らせてきた想いと決別するにはいい機会じゃないかと無理矢理な動機をつけて、彼はひとつ大きく息を吐いた。
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霙(プロフ) - かたはまさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえると凄く嬉しいです…！期待に応えられるように頑張りますね、これからもよろしくお願い致します！ (2020年4月21日 1時) (
レス) id: 1c76571629 (このIDを非表示/違反報告)
かたはま - すごい面白くて、世界観に引き込まれます！これからも、楽しみにしてます！ (2020年4月18日 23時) (レス) id: 9a78e2b3a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霙 | 作成日時：2020年3月3日 15時
